社畜してたら反社来た【佐野万次郎】

反社.9 ページ9

佐野「A、ちょっと待ってて」
貴「あ、はい」

返事をすると頭を撫でられて
それから彼は部屋を出ていった

一緒にたい焼きを食べて
万次郎さんがパソコンをいじっているのを

横で眺めていたら電話がかかってきた
それで出ていっちゃった

さっきまでマウスの音が響いていた部屋が寂しい
何をしているのかは分からないけど

犯罪組織のトップなんだから
きっといい事じゃないんだろう

ブラック企業から更に反社までいくとは…
私の人生どうなってるんだろう

いつ間違えたのかわかんない、けど…
ここに連れてこられてまだ1日しか経ってない

彼のことも何も知らないし
何人いるのかも知らない

幹部の人にもほとんど会ってない
…けど多分、きっと

今までの生活よりずっと快適
ふかふかなベッド

美味しいお昼ご飯とデザート
寒くも暑くもない部屋

誰も私を罵倒したりしないし
気持ち悪い手つきで触ってくるジジィもいない

…サンズって呼ばれてた人には
嫌われてる気がするけど

でも万次郎さんは気にしなくていいって言ったし
俺がトップだから俺の言うことだけ聞いて、って

そんな彼はよく分からないけど
私を気に入ってるみたいだし

なぜだかとても好かれてるみたい
だから酷いことをしたりしない

朝早く起きなくていい
納期に迫られる必要もないし

ご飯を食べる時間もある
大きなお風呂にも入れてもらったし

久しぶりに髪を乾かせた
就職してからの3年間で

1番人間らしい生活ができた
反社に連れ去られたおかげで

貴「……とんでもないこと言ってる」
こんな事ならもっと早く連れ去られたかった

ずっとここにいたい
私を肯定してくれる人の傍に

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