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A「よしはら、まさと」
雅斗「そう、よしはらまさと。...聞いたことねえか〜」
そう言うと雅斗は頭のうしろで腕を組み天を仰いだ。
A「あ、あの...」
雅斗「ん？」
A「どこかでお会いしたことありますか？...すみません、何か、聞いたことある気がするんですけど、思い出せなくて...」
雅斗「いや、多分会ったのははじめてなんじゃないかなあ？」
A「そ、そうですか」
雅斗「うん。あ、もうそろそろ駅着くよ」
雅斗の言うとおり、直ぐにAの学校の最寄りに着いた。
雅斗「あ、そうだ。俺、君の名前聞いとらんわ」
A「私ですか？えぇと、千歳A、です」
雅斗「覚えとくね」
扉が開いて大量の人が一斉に降りる。
Aには、その中で雅斗だけが輝いて見えていた。
一度Aの方を振り向くと、ひらひらと手を振りつつ、微笑んだ。
そしてまた雅斗は歩きだし、彼の姿を見失ってしまった。
A「吉原雅斗...か...」
何者なんだろう。
A「なーんか、聞いたことあるんだよなあ」
なんだっけ？思い出せない。
A「一期一会...。縁があれば、きっと思い出すよね」
そう呟き、Aは学校に向かって歩き出した。
A「ただいま！」
A母「おかえりなさーい」
Aの趣味はラジオを聴くことだ。
家に帰るとまずラジオをつける。
夕飯まではひたすらラジオを聴く。
夕飯を終えると、またラジオを聴く。
A「今日、月曜日か」
Aの一番のお気に入りはCBCラジオのナガオカスクランブルだ。
平日の夜10時から帯で放送されている番組である。
しかし、月曜日はその番組が休みなのだ。
Aのテンションが少し下がる。
いつもその時間は、なんだっけ...？
『起立〜！礼！着席！！』
あ、えぇと...ボイメン？の番組か。
『では出席とりたいと思います！』
『はーい！』
『本田くん！』『はい！』
『水野くん！』『うぇい！』
『そして、吉原です！』
ん？
A「...よしはら...」
A「吉原！！あ！！！」
だから、あの声聴いたことあると思ったんだ。
よしはらまさとって聞いたことあると思ったんだ。
Aは即座に“ボイメン よしはらまさと”で検索する。
A「やっぱり...この人だ...」
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作者名：華月 | 作成日時：2017年6月18日 19時
