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ひとまず、今一番すべきことは今日の夜の寝床探し。

こういうときってどうするべき?

あ、公園が定石?

そう思って近くの公園へ足を向け、歩き始める。

こんなところに花が咲いている。

あんなところにあんな建物あったかしら?

いつもはリムジンで走っていた道を歩いてみると、小さな発見がたくさんある。

こんな感覚まで自分は忘れていたんだな。

こんなに無力なのに。

お金が無いと何も出来ないのに。

人の上に立って何かしようだなんて傲慢だったんだ。

私は今気付けたけれど、父は気付く前に亡くなった。

祖父や父には申し訳ないが、ある意味、気付くことができて良かったのかもしれない。


A「...お夕飯を買えないほど困窮するだなんて...」


日が暮れる頃、公園に到着したが、特に何もすることがない。

『太陽が落ちる前に帰ってきなさい』という母の言いつけ通りに子ども達が帰って行き、いまは私ひとりが公園に居る。

雨風を凌げそうな手頃な遊具を見つけて中へ入った。


A「私はどうすればいいのですか?おじい様...教えてください...私を...助けてよ...」


足を止めてしまうと反比例するかのように涙が溢れてくる。

こんなに我慢していたのかと自分で引くくらいに。

声を上げて泣きじゃくる。

どうせ、誰も聞いちゃいない...









??「大丈夫?」


不意に背後から掛けられた声。

優しくて、温もりのある声。

私は泣いている姿を見られた恥ずかしさと急に話しかけられた驚きとで暫く固まっていた。


??「えーと、大丈夫?」

A「...だ、大丈夫、です...」

??「ほんと?俺には大丈夫そうには見えないけど?」


そう言ったその声の主はいつの間にか私の目の前でしゃがんでいた。


拓海「俺、土田拓海」

A「へ?...あ、えと、京A、です」

拓海「へえ、Aちゃん?良い名前じゃん」


つちだたくみ、と名乗ったその男は無邪気な笑顔を私に向けた。


拓海「Aちゃん、俺でよかったら話聞くよ。...あ!俺、怪しい者ではないから!あ、信じてもらえんかな...初対面で馴れ馴れしいよな、えーと...」

A「土田さん」

拓海「へ?」

A「お話、聞いていただいても良いですか...?」


男性本人が言うように、初対面だし、得体もしれないし、名前だって本当かわからない。

そんな人にこんな酷な話をするなんて普通に考えたら可笑しい。

でも、きっと私はその時、無意識のうちに、話を聞いてもらいたいって思ってたんだ。

土田さんに、淡い期待を、抱いていたんだ。


拓海「もちろん!」

・→←紫のヒト



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作者名:華月 | 作成日時:2017年6月18日 19時

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