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「ねえ佐久間、俺、自分で一緒にいたいと思ってここまできたんだよ。
佐久間とも、蓮くんとも。」
俺は俺の意志で、人生の選択をしてきた。
そして佐久間も蓮くんも、そういうことで俺に強要することなんて何一つ無かった。
「そうやって阿部ちゃんは言ってくれるけどさ、でも、」
「でもも何も、俺、佐久間と家族になれたみたいで、嬉しかった。
前蓮くんが俺のこと家族って言ってくれたのも、すごく嬉しかったし。
今のしんみりしたこの気持ちも、家族として送り出せたからこそある感情だと思ってる。
でもそれは、思い上がり?」
そんなの、謝られた分だけ悲しい。
「…ううん。
俺だって、阿部ちゃんは家族だと思ってるよ。
ずっとずっと、大切な人だから。」
その言葉に、安心する。
謝る言葉より、そっちの方がずっと嬉しい。
「それなら、縛りつけてるとか悲しいこと言うなよ。
家族だから一緒にいた、それだけのことじゃん。」
「ごめん。」
「分かればよし。
だからもう、謝るのは終わりにして。」
また一口、チューハイを飲んだ。
隣の佐久間も、ぐびりと飲んだ。
そこでふと思う。
「でも、何年経っても、どれだけ一緒にいても、夜のベランダで佐久間が隣にいるのは、なんか不思議な気分になる。」
「へえ、なんで。」
うーん。
そうだなぁ。
「夜のベランダは、なんとなく俺にとって佐久間と電話する場所なのかも。」
「電話…。」
「そう。」
離れ離れで一緒に星を見ながら電話したこととか、覚えてる?
俺はこっそり泣いてたから、ちょっと思い出話としては出しにくいけど。
あと、それから、
「高校の時デートで行った花火大会の帰り。
あれの印象は結構強いから、それが始まりかも。」
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葉子(プロフ) - ちゃー。さん» ちゃー。様、こんばんは!やっぱり好きだなんて…!単純な人間なのですぐデレデレしてしまいますー!ありがとうございます!しかも定期的に読み返してくださるだなんて、有り難いの極みです。今後もちゃー。様に楽しんでいただけるお話を書けるよう妄想します!(笑) (2021年7月10日 21時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
ちゃー。(プロフ) - 久しぶりにこちらの作品を読み返してやっぱり葉子さんのお話が好きだなと再認識しました。特にこの作品は切なさもありつつ最後のハッピーエンドを読みたくて定期的に読んじゃいます。いつも素敵なお話ありがとうございます。これからも楽しみにしてます! (2021年7月9日 14時) (レス) id: 932247b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - かぁさん» お返事遅くなり申し訳ありません…!まさか1年近く経つこちらのお話に感想をいただけるなんて嬉しいです!そして今尚読み返していただけたこと、去年の夏頑張って書いて良かったーと思えます!mmkjさん偶にしか出せませんが、今後も遊びに来ていただけたら嬉しいです! (2021年7月3日 14時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
かぁ(プロフ) - skabの2人のお話もmmkjのお話も、何度も繰り返して読んでます。読めば読むほど切なく胸が苦しくなりkj君にエールを送り abちゃんが可愛さを増していくように感じます。楽しいお話ありがとうございます。これからの更新も楽しみにしておりますね (2021年6月22日 23時) (レス) id: 6ed8d28ab1 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - memekoji56さん» 初めまして、こんにちは!泣きそうになっただなんて…!感情を込めて丁寧に読んでくださってありがとうございます!mmkjさんにはちょくちょく出演してお話を盛り上げてもらっているので、今後ともどうぞよろしくお願い致します!メインのお話も…いつか書けたら…! (2021年4月14日 7時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉子 | 作成日時:2020年8月24日 0時