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あまりに唐突過ぎて、勢いついてもおて。
それはめめも同じやったのか、しゃがんでためめも地面に座り込んで、俺はそんなめめにのし掛かるみたいになってる。


「あっ、ぶな…。
めめ…?」


訳が分からんくて、そっと名前を呼ぶ。


「康二、」


名前、呼ばれたと思ったら、めめの手が俺の後頭部に回る。
そのまま優しく、でも確実にめめの方へ寄せられた。
全部が全部、スローモーションみたいな、でも、一瞬のような。

近付く、めめの顔。

そのまま重なる、唇。


あまりの衝撃の連続についていけんくて、涙堪えるために入ってた顔の力も入れてる場合やなくて。
ぼろりと、零れた涙の粒は、俺とめめの間に流れた。





めめの顔が離れてくんを、何もできひんまま見つめる。
俺の後ろの遙か彼方先にあるやろう月と星が、今は俺の少し下にあるめめの顔を仄かに照らしとって、視線が合わさるのが分かる。
そしてそれから



「好きだ。」



と、確かに、そう言われた。


「んな訳…、」
「あんの。」


言葉を遮られて、ぎゅっとめめの方に抱き寄せられる。


「俺が守りたいのは康二だけだって気付いたから。
誰のとこにも、行かせたくない。」


めめがそんなこと言うなんて、なんかの間違いやないの?
そう思うのに、涙がぼろぼろと止まらへん。


「康二は俺のこと、一等星だって言ってたけど、俺にとっての康二は、月なんだって思ってる。」
「月…?」


聞き返したら、肩をそっと掴まれて身体が離れる。
けどかわりにお互いの顔が見えるようになって、


「どんなに暗いとこにいても、周りを優しく明るくする存在。」


それが、めめから見た、俺?
けど俺、そんな器やないし。
だいたいそれって、


「阿部ちゃんやないの、それ。
俺阿部ちゃんの代わりになんてなれる程、すごないで。」
「話、最後まで聞けって。
周りために一人でこっそり努力して、傷ついたり危なっかしかったりして守ってやりたくなるのなんて、俺には昔から康二しかいない。
その意味に気付くのが遅くなって、沢山泣かせたかもしれないけど。
…幼なじみの俺たちはこれで最後。
今度こそ本当に、康二のこと、守らせてほしい。
俺と、付き合って。」


驚きすぎて言葉が出んくて、ぼろぼろ零れ続ける涙をどうすることも出来んくて。


「返事、欲しいんだけど。」

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葉子(プロフ) - ちゃー。さん» ちゃー。様、こんばんは!やっぱり好きだなんて…!単純な人間なのですぐデレデレしてしまいますー!ありがとうございます!しかも定期的に読み返してくださるだなんて、有り難いの極みです。今後もちゃー。様に楽しんでいただけるお話を書けるよう妄想します!(笑) (2021年7月10日 21時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
ちゃー。(プロフ) - 久しぶりにこちらの作品を読み返してやっぱり葉子さんのお話が好きだなと再認識しました。特にこの作品は切なさもありつつ最後のハッピーエンドを読みたくて定期的に読んじゃいます。いつも素敵なお話ありがとうございます。これからも楽しみにしてます! (2021年7月9日 14時) (レス) id: 932247b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - かぁさん» お返事遅くなり申し訳ありません…!まさか1年近く経つこちらのお話に感想をいただけるなんて嬉しいです!そして今尚読み返していただけたこと、去年の夏頑張って書いて良かったーと思えます!mmkjさん偶にしか出せませんが、今後も遊びに来ていただけたら嬉しいです! (2021年7月3日 14時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
かぁ(プロフ) - skabの2人のお話もmmkjのお話も、何度も繰り返して読んでます。読めば読むほど切なく胸が苦しくなりkj君にエールを送り abちゃんが可愛さを増していくように感じます。楽しいお話ありがとうございます。これからの更新も楽しみにしておりますね (2021年6月22日 23時) (レス) id: 6ed8d28ab1 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - memekoji56さん» 初めまして、こんにちは!泣きそうになっただなんて…!感情を込めて丁寧に読んでくださってありがとうございます!mmkjさんにはちょくちょく出演してお話を盛り上げてもらっているので、今後ともどうぞよろしくお願い致します!メインのお話も…いつか書けたら…! (2021年4月14日 7時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葉子 | 作成日時:2020年8月24日 0時

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