そこにいて一等星。 ページ11
会社に着いて、今日の席を選ぶ。
仕事始める前に、あの返事できてへんままのトーク画面をもう一回だけ見て、溜め息。
「何々、溜め息なんて吐いて。」
声がした方を向くと、翔太くんがおった。
「康二も恋煩いとかすんだ。」
「や、違くて。
取引先からちょっと。」
「プライベート用のスマホ握りしめて言ってるけど大丈夫?」
う、と言葉に詰まる。
「翔太くん、鋭すぎるわ。」
「昔おんなじようなことしてた奴がいたからさ。」
そう言ってふっと笑う翔太くん。
大人の余裕や。
「もしかして花火デートの黒髪長身イケメン?」
「っ、いや…。」
「隠すなよ。」
「…ええっと、」
「康二って恋愛のこと喋んないから気になってたけど、やっぱ好きな奴の一人や二人いるんだな。」
自分のこと話さへんの、バレてたんか。
めめを好きなこと阿部ちゃんに知られるわけにいかんから、この手の話は聞き役に回るようにしとってん。
せやから今日も、なんとなく苦笑いで返す。
「昔ならそんな暗い顔させるような相手なんか忘れられるように誰か紹介しようか、とか言えたんだけどなー。」
「翔太くん、イケイケやってんなぁ。」
「別にそういうんじゃないけど。
でも康二も幸せになれる相手見つけろよ。」
幸せに、なれる相手。
そんな相手、どっかにおるんかなぁ。
めめでは、無かったみたいやから。
探さな、あかんのかな。
そらまあ普通に考えたら、十何年も停滞したままの恋なんて捨てて、次に進まなあかんか。
ああ、そうや。
なぁめめ。
お互い幸せになれる相手を探すために、ちゃんとさよなら、させてくれへんかな。
昔願ったみたいに、終わらせるんは、めめにして欲しい。
そうやないと俺、いつまででも、めめを好きでおれてまうんよ。
どうか二人だけのあの小さな花火大会で、俺にさよならを言うて、この別れに、背中を押してほしい。
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葉子(プロフ) - ちゃー。さん» ちゃー。様、こんばんは!やっぱり好きだなんて…!単純な人間なのですぐデレデレしてしまいますー!ありがとうございます!しかも定期的に読み返してくださるだなんて、有り難いの極みです。今後もちゃー。様に楽しんでいただけるお話を書けるよう妄想します!(笑) (2021年7月10日 21時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
ちゃー。(プロフ) - 久しぶりにこちらの作品を読み返してやっぱり葉子さんのお話が好きだなと再認識しました。特にこの作品は切なさもありつつ最後のハッピーエンドを読みたくて定期的に読んじゃいます。いつも素敵なお話ありがとうございます。これからも楽しみにしてます! (2021年7月9日 14時) (レス) id: 932247b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - かぁさん» お返事遅くなり申し訳ありません…!まさか1年近く経つこちらのお話に感想をいただけるなんて嬉しいです!そして今尚読み返していただけたこと、去年の夏頑張って書いて良かったーと思えます!mmkjさん偶にしか出せませんが、今後も遊びに来ていただけたら嬉しいです! (2021年7月3日 14時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
かぁ(プロフ) - skabの2人のお話もmmkjのお話も、何度も繰り返して読んでます。読めば読むほど切なく胸が苦しくなりkj君にエールを送り abちゃんが可愛さを増していくように感じます。楽しいお話ありがとうございます。これからの更新も楽しみにしておりますね (2021年6月22日 23時) (レス) id: 6ed8d28ab1 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - memekoji56さん» 初めまして、こんにちは!泣きそうになっただなんて…!感情を込めて丁寧に読んでくださってありがとうございます!mmkjさんにはちょくちょく出演してお話を盛り上げてもらっているので、今後ともどうぞよろしくお願い致します!メインのお話も…いつか書けたら…! (2021年4月14日 7時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉子 | 作成日時:2020年8月24日 0時