頑固者が2人おりまして

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来なきゃよかったかもしれへん。




そう思うたのは、Aと岩さんが練習を始めて、10分後のこと。




思うてたより、俺、我慢できへんらしい。




Aは、あっさり、振りを覚えて岩さんと何事もないかのようにダンスしている。




岩さんと、Aの顔が、キスでもしてしまいそうなくらい、至近距離に顔を寄せているところなんて俺の独占欲が顔を出す。




.......まだ俺のやないけど、やだ。




完全に嫉妬だ。




ただ、2人のペアダンスはとても揃ってるし、綺麗なんやけど。




義務的に見えて、少し物寂しい感じもする。





岩「ちょっと、休憩して、あと通しで2、3回合わせたら今日は終わろうか。




喉乾いたから、飲み物買ってくる」




『分かりました』




長い髪をかき上げながら、俺の方に歩いてくる。




……これが見られるのは、まあ、よしとして、やけど。




『壱馬』




壱「ん？」




ちょっとドキドキしてるんやけど、色っぽくて。




そう思いながら、平静を装い、返事をした。




『どう？なんかアドバイスない？




なんか、しっくりこないんだよなあ、なんでだろう』




壱「アドバイス？」




『外から見て分かることもあるでしょ？




なんのために、外で見てるのさ』




Aが水を飲みながら、俺の方を見る。




正直、アドバイスとか求められるとは思うてなくて、焦る。



.......着いてきたのは、もちろん、Aのダンス見てみたかったことや、岩さんとのペアダンスを見ることで、なにか得るものがあればええなってこともあるけど。

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