頑固者が2人おりまして

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なんとか、撮影を終えて、私は青木さんの車に乗り込んだ。



午後はなんとか、持ち直し、たいして押すこともなく撮影を終えたけど、気分は最悪だ。




『青木さん、事務所にお願いします、ちょっとスタジオで踊ってから帰る』




青木「了解。




明日は、午後からドラマの方の撮影だからそれまでに切り替えて」



『はい』




今日は、直帰したくない気分で、体を動かしたくて。




青木さんに事務所に送ってもらってエントランスに入ると、見慣れた人がこちらに歩いてやってくる。




岩「あれ？Aじゃん」




『岩さん、お疲れ様です』




岩「事務所に用事？」




『まあ、そんなとこです笑』




そう言って、岩さんに頭を下げて歩き出そうすると岩さんが、待って、と声を上げた。




『どうしました？』




岩「恋人ごっこ、してくれるんでしょ、ありがと、俺の案に乗ってくれて」




『いや、作品のためには、壱馬の指摘が見る方の感想に直結するでしょうし』




じゃあ、よろしくお願いします、と頭を下げて、スタジオに向かおうと岩さんに背を向けた。




しかし、岩さんは、私の横に並んで一緒にスタジオの方向に歩き出した。




岩「今から、何するの？」




『スタジオを借りようかと……』




岩「あ、わかった、今日調子悪かった？笑」




『すーぐバレますね』




これは、女優になりたての頃によくやってたストレス発散方法だから、岩さんもよく見てたし、覚えてたらしい。




岩「最近、なかったのに、どうしたの？」



『たまたまですよ』




岩「俺も一緒に踊ろっかなあ、イライラしてるなら、クランプするんでしょ、相手欲しくない？笑」




岩さんが、そう、笑顔で言うものだから、思わず心が音を立てる。




私の昔からの癖みたいな、ストレス発散方法覚えててくれたんだ。

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