→ ページ7
｢ーーーートントン様？｣
独り言に凛としたよく通る声が返事して驚き振り返る。
彼女も俺の声に振り返ったのか、お互いに半身で振り返ったまま静かに数秒顔を見合わせた。
｢っーーーーー！
どうされたんですか、どこか暖かい部屋に参りましょう｣
いつの間にか中庭に出ていたのか。
彼女が俺を見て目を僅かに開いたあと、腰まである垣根を無視してズカズカ近づいて来たことで自分がどこまで頭を冷やしに出ていたかに気がついた。
｢え、いや……｣
｢医務室に参りましょう
たしか今日は任務でしんぺい様はいらっしゃいませんが……｣
支えます、と言って素早く俺の脇に入り込んだ彼女は身長違いでやりにくいはずなのに精一杯俺の体を支えて歩き出す。
彼女に触れる箇所が酷く熱くなる。
俺の右手を肩に回して手で握って固定し、腰に手を回して完全に重病人相手の介護をする体制の彼女とは触れる範囲が広くて、近くて、軍人でありながられっきとした女性である彼女の髪からはふわりと可愛らしい香りがしてクラりとそれこそ本当に目眩がするようだ。
そこからの移動は天国のようで地獄だった。
階段なんかは息があわないと左右に揺れやすく、もともと密着してた体がその揺れで彼女の少し慎ましい胸にリズム良く触れてふにっふにっと天国が襲いかかる。
俺の童帝が悲鳴を上げてレッドカードを吹く笛が鳴り止まない。
少しでも立ち止まろうとすれば彼女がすぐそばから上目遣いで本当に心配そうな顔をしているから離れるように言うに言えず、黙って柔らかみを受け入れた。
近い、小さい、可愛い、いい匂い、柔らかい。
その言葉だけが頭の中をグルグル回って他がどうでも良くなる。
4階の医務室までの道のりがやけに長く感じるな……
何とかたどり着いた医務室。
扉を通る時にさりげなく空室の札を使用中に変更しておいた……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 845人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆゆっち - 更新がんばってください！ (2020年3月30日 19時) (
レス) id: 05bf900e03 (このIDを非表示/違反報告)
nogue - あっ神なんですね。わかります。(｀・ω・´)これからも頑張ってください。 (2020年3月29日 11時) (レス) id: a847137800 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - ｽｩ(息を吸う)……………………………面白いです!(。・ω・。)ゞ好みですぅ。更新頑張ってください! (2020年3月23日 7時) (レス) id: 70e16e2ac2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：透明玄師 | 作成日時：2020年3月22日 0時
