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貴「み、しま、です…三島Aといいます…!」




3年前のあの日、連れてきた彼女の目からは
ぽろぽろと雫が落ちていた。




女性を泣かせたことなどなくて、

俺は慌てていた。





「えっ、と…」




コンコン…




きっとその時鳴っていたであろうノックの音が
俺の耳に届くことは無かった。






「失礼します。薮さん、内線で…」






何も知らずに入ってきてしまった彼は、俺と
三島さんを行き来するように見て驚いていた。






「内線がなんだ。」

「あ、えと、社長から内線1番です。」

「分かった。三島さん、少し席外しますね。」






彼女が小さく頷いたのを見てから
俺は会議室を出た。









それから二人がどんな話をしたのかは知らない。






ただ、二人の仲がその短時間で深まったという
事実だけが俺の目に飛び込んできた。





「お待たせしました。」


貴「あ、あの、出版の件、是非お願いします。」


「本当ですか?ありがとうございます!」






こうして、彼女のデビュー作の出版が決定した。






「今日はありがとうございました。では、また後日。」


貴「はい。」





会社のビルを出る時の彼女は笑顔だった。



見送りを終えた俺が営業部に戻り、
すぐさま向かったのはついさっき内線を伝えに
来た男のところ。





「なぁ、どんな手口使ったんだよ、








伊野尾。」



慧「ほぇ?いや、普通に話しただけですけど?」






当時、入社3年目だった伊野尾こそ、
小説家 三島Aを誕生させた影役者だったのだ。





俺はこの時改めて彼の営業スタイルを思い直した。






コイツには、営業の才能があると。








季節が巡り、彼が仕事に慣れるのと
時同じくして、彼には笑顔が増えた。





それは、慣れてきた仕事が楽しいからかのように見えるだろう。







その影に 三島 A の存在があることを知っているのは社内でも俺くらいだ。









仕事と私情を混同しない正確である伊野尾だからこそ、特に問い詰めはしなかった。






けれど、万が一の為を思って、今はこんな風に仕事で関わりが生まれないように俺が仕向けている。


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Blue White(プロフ) - コメントありがとうございます。Dcaも読んでくださったんですね!感謝、感謝です。この先の展開ではBlueWhiteの世界観がたっぷり出てきますので、お楽しみに! (2018年4月3日 10時) (レス) id: d030cca7ce (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - いつも楽しみに読ませていただいている梨乃です。Don'tcryanymoreの印象が強かったので愛のチカラがとても新鮮に感じます!!これからも更新楽しみにしています!青色さんと黄緑さん、私も大好きです!世論なんて知りません!笑笑 (2018年4月2日 17時) (レス) id: 8e1fd5095a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Blue White | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/bluewhite01/  
作成日時:2018年3月20日 19時

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