love 4 ページ5
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薮「こちらです。」
目の前に立ちはだかるのは大きなビル。
大学を卒業していくつか就職面接で行ったことしかないビル群。
薮さんに連れられて私はそのゲートをくぐり抜けた。
薮「ただいま戻りました！あ、こちらにどうぞ。」
近くにいた事務員の方に目配せのようなことをしてから薮さんは私を奥の部屋に案内した。
薮「早速なんですけど、先程の小説を見せていただいてもいいですか？」
「はい。あでも、ページが…」
慌てて直す私をよそに彼は事務員からお茶を受け取り私の近くに置いた。
「どうぞ。」
薮さんに小説を渡した私は膝の上で握った拳を
開けないほど緊張していた。
今までだってほとんどの人に見せたことの無い小説を、出版社の人が読むなんて考えたこともなかった。
会議室のようなその場所には
ただひたすらに沈黙の時間が続いた。
その間私は薮さんの顔を見ていた。
真剣な眼差しがすごい速さで上下する。
数ページ読んだあたりでその原稿は閉じられた。
私は彼の反応が怖くて下を向いた。
薮「すごいですね。」
上から降りてきたのはとても優しい声だった。
薮「少し読むつもりだったのに、引き込まれちゃってました。凄いですよ、本当に。」
私が顔を上げた先には笑顔を見せる彼がいた。
薮「どうです？」
「えっと、何が、ですか？」
薮「本、出してみませんか？」
開いた口が塞がらないとはまさにこの事だ。
頭が真っ白になって
自分が何を言いたいのかさえ分からない。
周りの音も静かになって、
あるのは目の前に座る首を傾げる彼の存在だけ。
空気がなくなったかのように息苦しかった。
薮「大丈夫。あなたには才能がありますよ。」
少ない聴力の中で受け取ったその言葉は
彼のものだった。
彼の唇は確かにそう呟いていた。
薮「そう言えば、お名前聞いて…って大丈夫ですか？」
「み、しま、です…三島Aといいます…！」
私の頬には涙が流れていた。
かけてもらった言葉が嬉しかったのか、
本の発売が嬉しかったのか、
私には分からなかった。
それでも私は泣いていた。
初めてあった薮さんの前で恥ずかし目もなく泣いていたんだ。
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Blue White(プロフ) - コメントありがとうございます。Dcaも読んでくださったんですね！感謝、感謝です。この先の展開ではBlueWhiteの世界観がたっぷり出てきますので、お楽しみに！ (2018年4月3日 10時) (
レス) id: d030cca7ce (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - いつも楽しみに読ませていただいている梨乃です。Don'tcryanymoreの印象が強かったので愛のチカラがとても新鮮に感じます！！これからも更新楽しみにしています！青色さんと黄緑さん、私も大好きです！世論なんて知りません！笑笑 (2018年4月2日 17時) (レス) id: 8e1fd5095a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Blue White | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/bluewhite01/
作成日時：2018年3月20日 19時
