love 30 ページ31
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気付けばもう季節なんてとっくに巡っていて、
訪れた公園には鮮やかな落ち葉の絨毯が敷かれていた。
シャクシャク…
落ち葉を踏む音を聞きながら、
彼の速度に合わせてゆったりと歩く。
慧「いやー、いいね。
綺麗だし、人もいないし。」
平日ということもあるのか、この広い空間には私たちの声しか響いていなかった。
まるで、2人だけの世界に飛び込んでしまったかのような異世界。
ふと下の落ち葉を見ようとして視界に入った彼の足。
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『自分の足で歩けるうちにAと一緒に歩きたいなって。』
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あの日の彼の言葉が不意に頭に流れた。
彼の腕を握る私の手の力が少しだけ強くなる。
「うわぁ、すご…」
彼が嘆息混じりに呟いたその言葉に、
私は下がっていた頭を上げた。
「うわぁ…」
彼と同じ反応をしていた自分に少しの面白さを感じながら、彼と同じように嘆息を漏らした。
目の前に広がっていたのは周りの木々に囲まれて孤立したように聳え立つイチョウの大木。
慧「凄いね…」
「うん…」
何気なく私が慧の顔を見上げた時、
彼も私の方を見る時だった。
心の中にあるはずの魂が抜けたかのような顔をする互いを見て自然と笑みが漏れる。
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次第にその笑い声は小さくなっていく。
それでも私たちの視線が外されることは無かった。
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一瞬、慧の顔が真剣になって、
次の瞬間には手を引かれて私は彼の腕の中にいた。
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「A。」
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彼が私を呼ぶ声が耳に響いて、
私の体や心が一瞬にして温まる。
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「愛してる。」
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他に言葉などいらなかった。
私を抱きしめる彼の体が、
私の耳元で囁く彼の声が、
その全てを物語っていたんだ。
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嗚呼、私の隣にいるのが貴方で本当に良かった。
この頃、何気ない会話や何気ない仕草でそんなことを考える。
あの時の出会いが今の私を作っている。
奇跡の連続で生まれたこの幸せは、
きっとこれからも奇跡を作り出す。
今この瞬間が幸せで、
きっとこれからも幸せなことは沢山生まれる。
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ねぇ、神様。
私の愛する人を、連れて行かないで。
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私の想いを告げるように私も彼に腕をまわした。
.
彼がどこにも行かないように。
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Blue White(プロフ) - コメントありがとうございます。Dcaも読んでくださったんですね!感謝、感謝です。この先の展開ではBlueWhiteの世界観がたっぷり出てきますので、お楽しみに! (2018年4月3日 10時) (レス) id: d030cca7ce (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - いつも楽しみに読ませていただいている梨乃です。Don'tcryanymoreの印象が強かったので愛のチカラがとても新鮮に感じます!!これからも更新楽しみにしています!青色さんと黄緑さん、私も大好きです!世論なんて知りません!笑笑 (2018年4月2日 17時) (レス) id: 8e1fd5095a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Blue White | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/bluewhite01/
作成日時:2018年3月20日 19時