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慧の定期的な検診は1ヶ月に1,2度で続いている。






彼は病気に対して前よりは受け入れようという気持ちを見せていた。



それでも、やはりまだあの病を完全に受け入れることは難しいようだった。







今はまだ麻痺はあまり出ていないけれど、
いつ来るかわからないその恐怖に
毎日怯えながら過ごしている。







「こんにちは、伊野尾さん。」






中島先生は相変わらず優しい笑顔で話してくれた。






中「今日はちょっと紹介したい人がいるんです。」








中島先生について行った先の部屋にいたのは、
大きな車椅子に乗った人とその隣に座る青年だった。





中「こちら、有岡さんです。」





先生の紹介で青年が頭を下げ、
私たちも慌てて頭を下げた。






「有岡大貴です。こっちは兄の悠大です。」



中「悠大さんはALSの患者さんで、2年ほど前から呼吸器を付けて生活されているんです。

是非、お話してみてください。」






その時、中島先生の携帯が鳴って
先生は部屋をあとにした。







初対面で流れる沈黙を破ったのは、
有岡さんの方だった。






大「いきなりこんな形じゃ話しにくいですよね。」




「そう、ですね。」




大「兄はもう呼吸器を付けていて話すことが出来ないんです。

だから会話をする時は文字盤とかこの特別なコンピュータを使って会話するんですよ。」




「へぇ。」





私たちが視線を向けた先、
悠大さんが指を小さく動かして画面に少しづつ文章が出来上がっていく。




(こんにちは。兄の悠大です。よろしく。)




大「こう見えて、兄はまだ仕事をしてるんです。」




「え?」





驚いて声を出したのは私ではなく慧の方だった。





大「最近はこんなふうにコンピュータとかで
長く仕事を続けられるようになったんです。」




「ちなみに、なんのお仕事をされてるんですか?」




大「広告の文字打ちです。地道ですけど本人は楽しくやってるようなので。」







悠大さんと個別で話がしたいという慧の意向を受け、私たちは2つに別れて会話を続けた。


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Blue White(プロフ) - コメントありがとうございます。Dcaも読んでくださったんですね!感謝、感謝です。この先の展開ではBlueWhiteの世界観がたっぷり出てきますので、お楽しみに! (2018年4月3日 10時) (レス) id: d030cca7ce (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - いつも楽しみに読ませていただいている梨乃です。Don'tcryanymoreの印象が強かったので愛のチカラがとても新鮮に感じます!!これからも更新楽しみにしています!青色さんと黄緑さん、私も大好きです!世論なんて知りません!笑笑 (2018年4月2日 17時) (レス) id: 8e1fd5095a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Blue White | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/bluewhite01/  
作成日時:2018年3月20日 19時

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