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椛が、何を想っているのか。
私には何も分からなかった。
でも、瀬口くんは気付いていたんだ。私の方が、ずっと椛の隣にいたっていうのに。瀬口くんの方が、ずっと知らないはずなのに。
椛は長谷川くんがいなくなって、それであんなにも寡黙になってるんだ。
樹「……せ、瀬口。それくらいで、いいじゃん」
黎弥「いいや」
藤原くんが高揚している瀬口くんを止めようと腕を掴むけれど、瀬口くんは椛を睨んだままその腕を振り払う。
瀬口くんに対して何も言えずに固まっている椛に、けれど瀬口くんは近付き、くってかかろうとした。
でも、その時。
夏輝「黎弥！」
人混みをかき分け、息を切らした澤本先輩が駆け付けてきた。私達の目の前で、立ち止まる。
汗でいっぱいになった顔を一度、制服の袖で拭いてから、眼鏡の奥から強く瀬口くんと椛を睨んだ。
夏輝「何やってるんですか君達は……上杉さんも、藤原くんも。……どうして止めないんですか」
けれどよほど焦ってやってきた反動なのか、ずるずるとその場にしゃがみこんだ。
……息が凄く荒い。それほど、騒ぎを聞きつけて慌てて来たんだ。
黎弥「……」
瀬口くんはバツが悪そうな表情を見せ、目を伏せる。
椛はそんな瀬口くんを見て、やはり気まずくなったのか、伏し目がちになる。
藤原くんも、申し訳なさそうな表情を見せていた。
そんな中で、澤本先輩が立ちあがった。
そして、私達にしか聞こえないくらいの小さな声で言う。
夏輝「いいですか。近くに宮本先生がいるんです。あまり長谷川くんが寮にいないことを公にしないでください。一応彼は病欠ということになってますので、怪しまれます」
瀬口くんは先ほど言った言葉を思い出したのか、「あ」と声を漏らし、眉を顰める。
そういえば、はっきりと『長谷川に帰ってきてほしいなら』って、何か怪しまれるような言葉を、言っていた覚えがある。
でも瀬口くんは後悔しているみたい。唇を引き結び、難しい顔をしていた。
夏輝「……では藤原くんと西野さん。申し訳ないですが、黎弥……瀬口をよろしくお願いします」
澤本先輩は、声を普通に戻して言う。
樹「あ、はい」
千晴「は、はい……」
咄嗟に藤原くんと私は肩を弾ませたけれど、何とか返事をする。
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引き続きブルースター 7をお楽しみください(*´꒳`*)
最終日：2022.8.31 / 作者：桜花
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年4月20日 10時
