ブルースター６ (ページ44)

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樹「え……」

黎弥「最初っからなんとなく思ってたんだよ。物にあたるにしても、もう捨ててもいいようなボロボロの物にしか当たらないし。佐藤さんに突っかかる時も、最終的には彼女を助けるような発言が多いし。宮本に反発するときだって、不条理な理由で反発したりしないじゃん？」

樹「……」

藤原くんは、言葉も出ないみたいだった。
口を開こうとパクパク動かしてはいるんだけど、声が出てこないみたい。
それほど……

樹「……そこまで、見抜けてたんだ？」

瀬口くんの実力は、本当だったんだ。

それにしても、そうだったんだ。
川村くんが真面目な人なんだって、私、全然知らなかった。
口が悪くて、怖いって言う勝手な偏見を持ってて……何だか、すごく自分が嫌な人間にさえ思えてきた。

黎弥「まぁでも、これは川村には内緒にしててな。俺、あいつと張り合うの嫌いじゃないし」

ウィンクでもしそうな勢いで、瀬口くんは言った。
藤原くんはゆっくりと頬を緩めて、頷く。

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