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黎弥「ん？ああ」
瀬口くんはよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに、満面の笑みを浮かべた。
こうして普通に見たら、どこにでもいる、少し容姿が整った男子高校生なのに。
両耳のピアスと服装が、残念なイメージを醸し出しているのは気のせいなのかな。
黎弥「それはね、見てたら分かるんだよ。一応俺、人のこと見抜くのだけは得意だから」
立てた人差し指を口に当て、悪戯っぽく言ってみせる。
そんな姿が、どこか嬉しそうに見える。
確かに、昨日の陽向を庇っている様子を見たら、瀬口くんの言っていることは間違っていないと思うことが出来た。
普段はやっぱり、馬鹿ぶって、よく分からないことや喧嘩を吹っ掛けることが多いけれど。
でも、ちゃんと人を見る目はあるんだ。
その人の奥底に隠れた人格を見抜き、瞬時に対応して、どう動くべきかを判断する。
私なんかじゃ出来ない、すっごく高度な技だと思う。私なんか、人の表面しか見ることが出来ないから、尚更そう思うんだろうけど。
樹「……そう、なんだ？」
藤原くんも、なんとなく納得できたのだろうか。
目を丸くさせながらも、否定はしなかった。
瀬口くんは嬉しそうに笑顔を見せて、深く頷いた。
黎弥「おうよ。あ、そうだ。そういえば」
途端に笑顔が消え、真面目な表情へと変わる。
黎弥「その能力を本当だと思わせるためって言うのもあるんだけど、川村のこと聞いていい？」
樹「え、壱馬？」
黎弥「そう。実はずっと気になってたんだけど、確信がなくてさ」
樹「……何？」
黎弥「あいつって……本当はすっごい、根は真面目な奴だろ？」
瀬口くんが抑揚のない声で聞く。
川村くんが、真面目？
私にはなんとなくイメージが出来なくて、首をかしげた。
でも逆に、藤原くんは目を見開き、瀬口くんを見据えていた。
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年4月20日 10時
