ブルースター６ (ページ35)

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でも。
それはあたし達も同じで。

北人「……慎、が？」

壱馬「……」

葵唯「え、な、何で？」

樹「……」

千晴「……ほ、本当に？」

皆、目を見開いていた。
もちろんあたしも、驚嘆のあまり声さえも出てこなかった。

長谷川くんが。
何故。

壱馬「……でも、正直慎は今回の件、関係は……」

夏輝「いえ」

川村くんが言いかけたけれど、澤本先輩の言葉により、遮られる。
澤本先輩はあたし達に背中を向けていたけれど、ゆっくりとこちらを向いた。
その表情が、どこかさびしげだった。

夏輝「実は、長谷川くんは今回の件の鍵になっていたんです」

一瞬、あたし達の間に静寂が流れる。
気持ち悪いくらいに空気は重くて、その蒸し暑さに酔ってしまいそうなほど。けれど。

壱馬「……鍵？」

川村くんのその疑問が、澤本先輩の次の説明を促した。
澤本先輩は、静かに頷く。

夏輝「今回宮本先生にターゲットにされたのは、相原さんでした。けれど、それは実は誰でもよかったんです。川村くんでも吉野くんでも佐藤さんでも、誰でもよかった。そしてそれには、確固たる理由があるんです」

理由。
それがどんなものなのか、あたし達には想像もつかないけれど。
きっと先輩はずっと知っていたんだろう。けれど、先輩なりの理由があって誰にも言わなかった。
何だか息苦しくなって、少し俯く。辛い。

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