ブルースター６ (ページ22)

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ep.38 私たちのためにしたことが、裏目に出たページ22

* 葵唯 side

夜の9時をちょっと過ぎた頃。
玄関でパタンと微かな音が聞こえてきた。
そして、少しだけど話し声も。

おそらく、居残り組が帰って来たんだろう。
……にしても、随分遅くまでやってたんだね。

食堂でだらだらと過ごしていた私と吉野くん、そして珍しく眼鏡をかけた川村くんが一斉に玄関の方へと顔を向ける。
椛と長谷川くんは、それぞれ部屋で過ごしてるみたいね。

壱馬「……樹、やんな？あの声」

北人「うん。でも、相原さんの声聞こえないね」

葵唯「一番聞こえてもよさそうなのにねー。あの馬鹿、声だけはでかいし」

それぞれに私達が言っていると、明かりが点いているから誰かいることがわかったのか、藤原くんと千晴が食堂にひょっこりと顔を出した。

葵唯「あ、千晴お疲れー」

さっき自販機で買ってきたアルミ缶のファンタを口に当てながら、私は千晴に向けて手を振る。
でも、千晴の反応は鈍かった。泣きそうな顔をして、藤原くんと私達を交互に見ている。鈍かったって言うか、私の言葉に何一つ反応してないや。
……どうしたんだろ。千晴にしては珍しいな。椛ならしょっちゅう無視はしてくるけど。

同時に、藤原くんも気まずそうな表情をしていた。
そんな様子の彼等に、川村くんは眉を顰める。

壱馬「……樹？どうしたん、お前」

北人「何かあったの？」

優しく聞かれ、藤原くんは一度唇を引き結んでから、私達を見た。

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