ep.23 素直になれなくて苛々するこの気持ち、楽しいはずの美味しそうな夕飯なのに ページ7
* 葵唯 side
葵唯「…」
なんとなく、部屋でボーッと考えてた。
今思えば、椛と千晴は料理の方頑張ってるし…陽向も、掃除だけど頑張って毎日やってる。
今の時点で何も成長してないのって…私だけじゃん。
料理も出来ない勉強も嫌い掃除も嫌。…何か今思うと、ただの我儘だよね。皆頑張ってるのに…。
でも、今さら頑張る気もない。だってそれが…私だから。
そういえばもう…18時、過ぎてるじゃん。
コンコン
ベッドでゴローンとしているとき、部屋の中に響いた。
葵唯「あ、はーい。どなたー？」
「葵唯？ご飯、出来たんだけど…」
この声…千晴だ。
いつも思うけど、千晴って本当に消極的だよね…。友達呼ぶだけでも、あんなにかしこまって…。
女目線で見ても、今どきあんな純粋な子いないよ…。
葵唯「…了解。今行く」
ベッドから起き上がり、部屋のドアを開けた。
そこには、いつも通りの千晴がいた。
千晴「…葵唯？」
葵唯「どしたの？」
千晴「もしかして、寝てた？」
私は何も気にせずに部屋を出たんだけど、予想外にも千晴はそう聞いてきた。
…私、寝てたように見えるの？
葵唯「…何で？」
千晴「え…いや、何か…声のトーンが、低いから…？」
…驚いた。
そんなとこまで、見破られてたんだ。
でも、そんなとこまでオドオドして言わなくてもいいのに…。
葵唯「…そんなに、低い？」
千晴「えっと……い、いつもよりは…」
葵唯「そっかぁ…それほど眠いんだと思う」
千晴「そうなの？」
葵唯「うん。今現に寝そうだったもん。…それよりお腹空いたし、早く行こ？」
千晴「あ、うん」
私が言うと、千晴は素直に笑って頷いた。
…こんな私が言うのなんだけど、本当に素直だよね千晴って。
私達が食堂に向かおうとした時だった。
少し離れた部屋のドアが開いて、また閉まった。
私も千晴も誰が出てきたのかが気になったのか、その音のした方を見てみた。
…藤原、くん？
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作者名：桜花 | 作成日時：2021年5月31日 0時
