ブルースター４ (ページ31)

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葵唯「…は？…何、を…」

そう、聞こうとした。
だけど、聞けなかった。
川村くんが…私の耳元まで顔を近づけて、言ったから。

壱馬「お前が樹のこと気になってるんは、わかっとるんよ」

藤原くんには聞こえないように…そう言ったんだ。
思わず、私は睨むように川村くんを見た。

葵唯「…何、で」

壱馬「俺が気付いてへんとでも思ってたん？軽く…西野に嫉妬してたやんか」

葵唯「…」

何もかもを、川村くんは知ってた。
嘘だって…私だって思いたかったよ。だけど…

壱馬「ハッキリ言うねんけど、あいつは誰にでも優しいねん。上杉にも相原にも西野にもお前にも。もちろん、松本って奴にも」

葵唯「…る、さい」

さっきから、体制は変わらない。
藤原くんがどんな様子でいるかも…わからない。

私は自然と、耳を押さえていた。
これ以上、聞きたくない。

壱馬「現実逃避やろうがなんやろうが、勝手にすればええ。けど…」

葵唯「…うるさいって、言ってるでしょ」

壱馬「…友達を想うんやったら、諦めた方がええで」

葵唯「うるさいうるさいうるさい…黙ってよ！どっか行って！」

限界だった。
廊下だってことも忘れて、叫んでいた。

樹「…おい、壱馬！」

壱馬「はいはい…」

藤原くんの声が聞こえると、川村くんはスッと私から離れた。
同時に、私と川村くんの間に藤原くんが立っていた。

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