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何だかんだ言いながらも、お風呂掃除には陽向と吉野くんが向かった。
葵唯と川村くんと長谷川くんは、何故かその場でお喋り。
…なにやってんのこいつ等。
慎「…俺等、遊んでていいの？」
椛「え？」
いつの間にか、あたしの横に長谷川くんが来ていた。
そして少し遠慮しながらも、そう聞いた。
なんだ…ちゃんと常識のある人もいるじゃない。
椛「そうね…」
食器も何もかも、いつも夕食が終わった時に皆で片付けるからそういうのは大丈夫だし。
周りも、ちゃんと綺麗に掃除されてるし…。
椛「大丈夫よ。喋っててくれても構わないし、部屋にいてくれてもいい」
葵唯「じゃ部屋戻ろ」
壱馬「俺も」
葵唯と川村くんはあたしが言った途端にスッと立ちあがって部屋に戻って行った。
…あいつ等。
何か、本気で殴りたい。
似た者同士め。
ていうか、あたしは長谷川くんに言ったんですけどね。
慎「…個性的な奴が集まったなぁ」
椛「え？」
長谷川くんは、川村くんと葵唯が出て行ったキッチンの出入り口を見て、微かに笑っていた。
っていうより、微笑んでいた…って言った方が、正しいのかしら…。
彼のこんな一面…今思えば、初めて見たかも知れない。
あんまり話さないし、クールっていう感じしかしなくて…
でも、実際は。
実際は…優しい人なのよね。
椛「…本当、個性的すぎて困るわ」
これにはあたしも、微かに笑いながら言うしかなかった。
だって、自然と笑っちゃったし。
長谷川くんはキッチンを背にもたれながら、こちらを向いた。
あたしは一瞬は何かと思って、長谷川くんの顔を見たんだけど…。
目があった瞬間、彼は笑ってくれた。
何も言わなかったけど…笑顔を、向けてくれた。
それがあたしにとってなんとなく嬉しかったのは、誰にも、内緒の話。
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作者名：桜花 | 作成日時：2021年5月23日 13時
