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そのまま、葵唯は瀬口を叩く…と、思ってたんだけど。
樹「何やってんの…」
葵唯の隣には、葵唯の腕を掴んでいる藤原くんがいた。
その隣には、川村くんや長谷川くん、吉野くんも…澤本先輩もいた。
もちろんだけど、吉野くんは呆然として、川村くんや長谷川くんは呆れたように葵唯と瀬口くんを見ていた。
葵唯「あ…」
咄嗟に藤原くんに掴まれた腕を見て、葵唯が声を上げる。
夏輝「…やっぱり問題が起きましたね。…瀬口黎弥」
呆れたような、怒ったような…どっちかわからないけど、とにかくそんな表情をした先輩が口を開く。
先輩は、まだ制服を着ていた。
他の皆は、もうお風呂にも入った後だからってこともあるだろうけど、私服だ。
黎弥「…あーあ。どうしたの澤本先輩」
瀬口くんは未だに、反省の色を見せようとしない。
それどころか、ふざけてる。
夏輝「…本当に君は、救いようのない人間ですね。…藤原くん、申し訳ないですけど彼女達を部屋までお願いします」
樹「え？」
夏輝「…いや、佐藤さんだけで構いません。一応、問題になった当人ですので」
先輩の言葉には、どこか棘がある。
でもそれはきっと、葵唯に対してじゃない。瀬口くんに対してだ。
樹「…わかりました。行こう」
葵唯「え…あ、あの…」
ずっとさっきから変わらない体勢だった藤原くんと葵唯だけど、先輩に言われてはじめて動き出した。
藤原くんが、葵唯を引っ張って歩き始める。
千晴「…」
一瞬、私の隣にいた千晴が葵唯と藤原くんから目を逸らした。
…どうしたのかな。
椛は何も変わらないまま、そこに座っていた。
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作者名：桜花 | 作成日時：2021年5月23日 13時
