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パラパラと椅子に座ってテキトーに雑誌を眺めて入れば、自室のベランダの窓が数回ノックされる。そこへ顔を向けると、Aが「お邪魔します」と小声で呟きながら窓を開けて入って来た。
お互いの部屋が向かい同士にあり、ヒョイっとベランダの柵を飛び越えてしまえばそこはもう、相手のベランダ。
だから小さい頃からコッソリとお互いの部屋を行き来して、眠くなるまで遊んだこともあるし、そのまま一緒に寝たこともある。
いつからそんなことをしなくなったのかは思い出せないが、恐らく本格的な思春期を迎えた時、Aが女で俺が男だという互いの性の違いを認識したからだろう。
『……勝手に入って来んなよ』
『うん、ごめん……でも話があって』
そうは言っても、癖なのかいつも窓の鍵を開けたままにしてしまうのだ。次は雨戸ごと閉めてやろうかと思ったが、結局しないで終わるに決まっている。
俺の部屋で話をすれば逃げないと考えたのか、彼女は一歩二歩と距離を縮めて来た。もう風呂に入って髪を乾かし終わったようで、微かだが石鹸の匂いが鼻腔をくすぐっていく。
『どうしたら……総悟は喧嘩をしなくなるの?』
俺の足元に擦り寄るように座って、一枚膜を張られたような瞳で見上げる。まるで忠誠を誓われている錯覚に陥りそうになってしまい、自分のバカさ加減に呆れた嗤いが漏れそうだ。
すぐさま顔を引き締め、Aを鋭く細めた目で刺す。そんな俺の表情に怯えた彼女が小さく生唾を飲むのが喉の動きで分かった。
『……なら、お前が俺を満たしてくれんの?』
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ハル(プロフ) - ゆうかさん» 過去作も読んでくださったんですか!! うわあ、とっても嬉しいです^^ これからもバンバン作品を作っていきたいと思っておりますので、また新作が出ましたらたくさん読んでいただけるととってもありがたいです! コメントと応援、どうもありがとうございました!! (2017年10月7日 13時) (レス) id: d8241361cf (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - すっごく素敵なお話ばかりで1日で昔のものもほとんど読んでしまいました(;^ω^)これからも頑張ってください!応援してます! (2017年10月7日 11時) (レス) id: da24fb15e8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます! 最後は無事にハッピーエンドです!! ちょっと拗れた青春でしたが、紫蘭さんが楽しんでいただけたのなら良かったです。新作、完成させてからの投稿となっておりますので、お時間空いたときにでも読んでくださいませ! いつも閲覧どうもです!! (2017年10月6日 18時) (レス) id: 637325fbc5 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» ありがとうございます! 個人的にエロスが書きたいわけではないのですが、作品にそれっぽい表現が登場人物を表すために必要な時は薄っすら入れるようにしてます笑 高杉パパってわけじゃないけど、みてくださいな^^ コメントどうもありがとう。 (2017年10月6日 18時) (レス) id: 637325fbc5 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 完結おめでとうございます!皆幸せになる青春を謳歌しているなんて羨ましいです…笑 二人の思いが通じて良かったです! 新作頑張って下さい! (2017年9月30日 10時) (レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年9月11日 18時