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高杉晋助は俺たちの三つ年上で、現在どっかの大学に通ってるらしい。なんの接点があったのかは詳しく知らないが、ついこの間と言えるくらいに最近までAと付き合っていた。
はにかみながら俺に「彼氏ができたの」と言ってきた時は、本当に雷に撃たれたような気分になったものだ。
確かに俺は、高杉よりもガキだし大人の余裕とやらがないのかもしれない。しかしそれでも、他の男と比べられること自体が気に食わないのである。
いつまで高杉はAの中に居座り続けているのだろうか。早く追い出したい、出て行って欲しい……そんな自分勝手な願いばかりが抑えても湧き出して、彼女に当たってしまうのだ。
ふっくらした唇、ほんのりと赤く色付く血色の良い頬に、抱き寄せたら柔らかさと甘い匂いの感じる身体。一時期その全てを独り占めしていた高杉。
俺は何度、行き場のない怒りを覚えていたか。
そんなことにも気付かないAは、俺を見つめては唇を噛みしめる。瞳を潤ませ、再び「どうしてよ」と零した。
それなら、「お前のせいだ」と教えたらきっと彼女は驚くだろう。そうして再び「どうして」と口を開き、理由を求める。
理由を伝えれば、Aは一生俺の傍に居てくれることは分かっているのだ。でもそれが出来ないのは、俺が怖がっているから。
無理やり縛り付けることに抵抗を感じており、Aの心が一番欲しいと思っていた。
せめて、泣いてくれよ。泣いて喚いてそれで止めてくれたら……俺は考え直してしまうかもしれない。
だが彼女は涙をぐっと堪えるように拳を固く握る。
そんなAを見た俺はまた何か失った感じがして、彼女を押しのけて家に入った。
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ハル(プロフ) - ゆうかさん» 過去作も読んでくださったんですか!! うわあ、とっても嬉しいです^^ これからもバンバン作品を作っていきたいと思っておりますので、また新作が出ましたらたくさん読んでいただけるととってもありがたいです! コメントと応援、どうもありがとうございました!! (2017年10月7日 13時) (レス) id: d8241361cf (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - すっごく素敵なお話ばかりで1日で昔のものもほとんど読んでしまいました(;^ω^)これからも頑張ってください!応援してます! (2017年10月7日 11時) (レス) id: da24fb15e8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます! 最後は無事にハッピーエンドです!! ちょっと拗れた青春でしたが、紫蘭さんが楽しんでいただけたのなら良かったです。新作、完成させてからの投稿となっておりますので、お時間空いたときにでも読んでくださいませ! いつも閲覧どうもです!! (2017年10月6日 18時) (レス) id: 637325fbc5 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» ありがとうございます! 個人的にエロスが書きたいわけではないのですが、作品にそれっぽい表現が登場人物を表すために必要な時は薄っすら入れるようにしてます笑 高杉パパってわけじゃないけど、みてくださいな^^ コメントどうもありがとう。 (2017年10月6日 18時) (レス) id: 637325fbc5 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 完結おめでとうございます!皆幸せになる青春を謳歌しているなんて羨ましいです…笑 二人の思いが通じて良かったです! 新作頑張って下さい! (2017年9月30日 10時) (レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年9月11日 18時