【銀魂】青い春のワルツ【沖田総悟】

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『この間のテスト』
『赤点はお前だけだぞ』



『……は？』




そう言って土方が俺に見せてきたのは数日前に行った数学の小テスト。全然分からずに名前とテキトーな数字だけで埋めたそれは、見事に一桁を取っていた。

なんでも数学の教師に、そのテストと共に課題を俺に渡してくれと言付かったそうだ。




土方は俺の手にテスト用紙と課題の束を押し付け、「ちゃんとやれよ」と横を通り過ぎようとする。思わず「土方さん」と引き止めてしまい、それによってこいつは足を止めた。




『俺……』




Aを襲って泣かせた……と言ったら責め立ててくれるだろうか。こいつは妙に優しいところがあるから、俺を殴ってAを慰めてくれるかもしれない。

それともあれか、殴りもせずに口を聞いてくれなくなるのかもな。




『最低なことをしやした』




結局臆病止まりの俺は遠回しでしか自分の行った悪を話せなかった。そんな弱い俺に、土方も近藤さんも呆れてしまうだろう。


土方は頭をガシガシと掻いて、浅い息を吐く。そうして俺の頭に手を乗せて不器用ながらもぐしゃぐしゃに撫で回した。




『……自覚してんなら、俺に言うよりもやることがあんだろ』




「バカ」と付け足しては先を歩いていく。やっぱりムカつく男だ。なのに恨めないから困る。

俺もあんな風に真っ直ぐ生きれていたら、踏み外すようなことなどなかったのかもしれない。




どうしてこうも俺の周りの人達は眩しいのだろう。逸らしたくないのに目を細めてしまうから見失ってしまうのだった。

そこに感じる劣等感の数々。隣に並べるほど高尚じゃない俺。でもこの人達はそれで良いと、笑ってくれていた。

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