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sgi side
山本は「答え合わせをする」といったっきり無言で俺の腕をひく。
クイズって、朝のあれか?夢の国になくてここにあるもの,,,
いろんなアトラクションを思い浮かべるが、一向に分からない。
夢の国とここじゃあちょっと違いが大きすぎやしませんかい?ーーーなんて1人ツッコミをしていたら、突然腕の力が抜けた。
「,,,観覧車?」
「ふふ、正解です」
大人2人お願いします、とてきぱき手続きをする山本にされるがまま、1台のゴンドラに乗り込む。
向かって左の席に座ると、山本がとなりに座った。
「須貝さん、手を繋いでもいいですか」
「,,,?もちろんいいけど」
とたん右手が強く握りしめられる。山本の顔は、何か思い詰めたように固くなっていた。
「須貝さんは僕の恋人ですよね」
「おうよ」
「他の女になんか、なびかないですよね」
「もち。俺はお前が一番好きだから。この世界の誰よりも」
はふ、と吐息が漏れる。張り詰めていた表情は和らぎ、いつもの山本が戻ってきた。
「なに、ひょっとして妬いてた?」
「だって!あんなに親しげに話してたらちょっと心配になるじゃないですか!」
ムキになって反論するところも可愛らしい。
「誰にも靡かねーよ、よし」
「わぁ、嬉しい,,,」
名前で呼ぶと、恋人が少しとろけた。肩の力が抜かれ、俺の方にもたれてくる。
リラックスしてふと外を見ると、ゴンドラはほぼ最高地点の高さまで上がっていた。
「ねぇ、しゅんこっち向いて」
突然の名前呼びに戸惑いながら横を向いた瞬間、恋人の顔に焦点が合わなくなり、唇に温度を感じた。そのままどちらからともなく抱き合う。
どれくらいそうしていたのか、やがて恋人の少し赤らんだ顔が目に映った。
「,,,はじめて、でしたっけ」
「あは、確かにそーかも」
「えと、良かったです?」
「え、何いってんの最高じゃん」
2人きり、東京を上から眺めながら最愛の人とキスだなんて、こんな幸せあっていいのだろうか。
「あ、須貝さん、虹です」
外を見てみれば、広場の噴水が光を受けて七色に輝いていた。恋人の目に映って、キラキラしている。
「虹って、幸運の他に浄化って意味があるんだって」
「そうなんですか」
「ふふ、山本にも浄化してもらったし、俺今日超純潔だな」
「、、、ふ、何ですか超純潔って」
「これまでも、これからも、ずっと一緒だからな」
「へへ、僕色一色に染めてあげます」
肩に幸せの重みを感じながら、ゴンドラの揺れに身を任せた。
fin
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颯楓(プロフ) - すみれさん» ありがとうございます!!!良かったです♪いやぁqkの尊みは深さを知りませんね() (2020年6月4日 18時) (レス) id: 0a39adce2c (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - んんんんんなぁぁあ!!!尊いが溢れております、、うわぁぁ、、尊み謙信です、、 (2020年6月4日 17時) (レス) id: 9585eb17bb (このIDを非表示/違反報告)
颯楓(プロフ) - すみれさん» ありがとうますっっっ!!!お待たせしてしまって申し訳ないです,,,続き執筆中ですので今しばらくお待ちをΣb( `・ω・´) (2020年6月2日 16時) (レス) id: 0a39adce2c (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - ぬうううぁぁあ!!好きです!!すごく!!続き楽しみにしてます…! (2020年6月2日 5時) (レス) id: 9585eb17bb (このIDを非表示/違反報告)
颯楓(プロフ) - まままさん» おおあ良かった!とんでもないです、喜んで頂けて何よりですっ!!!いいですよね,,,重い話,,, (2020年5月29日 20時) (レス) id: 0a39adce2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯楓 | 作成日時:2020年5月18日 20時