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「だってぞくぞくしない?一度焼失したはずの屋敷が再建されて、そのまま廃墟になってるなんて。」
「いや、廃墟ではないと思いますよ?空き家…くらいじゃないですか?」
「こらこら山田助手、夢を奪うようなことは言っちゃいけないよ。」
「あの、俺いつから助手になったんですか?」
自由奔放な伊野尾さんに言われるがまま、俺は本当に伊野尾さんの助手になってしまった。
あれから、流石にバイト中はお手伝いできないと伝えると光くんと交渉して見事助手になることを言い渡された。
光くんは、俺も気になるししばらくは伊野尾ちゃんを手伝ってあげて。と何食わぬ顔で言った。
異例過ぎて自体が飲みこめないけれど、光くんの店で働くのではなく、伊野尾さんの下で助手をして働くというジョブチェンジを果たしてしまった。
「で、山田くん。その石碑まではあとどれくらい?」
「そこです、もう見えてると思いますけど…。」
ほら、と指さした先には先ほど話した石碑が見えている。
少し山に入ったところで石碑が姿を現した。
千代岬は西と東に別れている。
駅も近く、商店街のある東側に住んでいる俺は用事がないと西側には来る機会がない。
町内の小学校や中学校も東と西で別れているし、西側には大きな病院があるが特にお世話になったこともない。
しかし一度だけ、小学生の時に宿泊学習があって、その時にはこの近くまで来た事がある。
「伊野尾さん、あそこに建物があるじゃないですか。」
「え?……なにあれ、廃墟?」
「何でもかんでも廃墟にしないでください!」
「あはは、これも職業病?で、これは何?」
「小学生の時に必ず経験する宿泊学習のときに使う、宿泊施設です。町が運営してるんですよ。伊野尾さんもそういう経験ないですか?」
俺の問いかけに、うーん?と首を傾げるが悲しくも首を横に振るだけだった。
「きっとこういう自然豊かな町だったからこそじゃないかな?でもいいね、小学生のうちから楽しい経験が出来て。」
「夜になったら幽霊が出るとか騒いでた記憶はあります。でも結局、真相は謎のまま皆寝ちゃったんですよね。」
懐かしい思い出だ、とつい昔の記憶に思いを馳せてしまう。
伊野尾さんはそっと石碑に近づいて、あれ?と声を上げた。
「どうかしました?」
「いや……誰か、来ていたみたいだね。」
え?と覗き込めば、まだ新しい花が添えられていた。
誰が添えたのか分からないその花は、鮮やかな色彩を放っていた。
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天凪(プロフ) - NMダイキング担さん» お返事が遅れてしまい、申し訳ないです...!更新が遅れていますが、もう少しして夏休みに入り次第、更新ペースを上げる予定ですので、それまでよろしくお願いします! (2018年7月26日 23時) (レス) id: 73cf59f499 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 更新ありがとうございます!続きが気になります!!! (2018年7月3日 0時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - NMダイキング担さん» コメントいつもありがとうございます!更新と返信が遅れてすみません。これから少しずつ更新していきますので、最後まで応援よろしくお願いします! (2018年7月1日 21時) (レス) id: 73cf59f499 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 遅れましたが、新作ありがとうございます!天凪さんの作品とても大好きです。これからも無理せずに更新頑張ってください!! (2018年6月7日 0時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
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