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偶然3 ページ27

風見とAは駐車場へ向かい、風見に促され彼の車に乗る。
気まずさに暫く何も話せずにいたが、風見も何も言わず運転していた。


「着いたぞ…」


キッと車が止まった場所は全然知らない場所だった…


『風見さん…ここは?』

「降りてみれば分かる。」


言われるまま車から降りてみれば…


『うわぁ……!』


峠道の途中の停車スペース。そこから見えるのは街の灯りが煌めく夜景……


『凄く綺麗…』


そう呟くAの後ろから少し遅れて風見も来る。


「ここならそうそう人も来ない…色んな事を話やすいだろ。」

あぁ…それで風見さんはここに…

『風見さん…私…私は公安失格ですね…』


そうしてAはぽつりぽつりと話始めた……
風見は話終えるまでちゃんと話を聞いてくれていて、終わるとフーっとため息を吐いた。


「確かに恋心は時に邪魔になる…それに囚われていては公安失格だな…だが、この恋がみのったとしたら…そうしたら今度はお互いに守り合おうとして、より力を発揮できるんじゃないか?」

『…それは実ったらの話ですよね…』

「まぁな…」

『それは無いですよ…だから…降谷さんの足でまといになるくらいなら…私はこの想いを捨てたんです。』

「……捨てるにはまだ早いんじゃないか?」

『え?』


その時凄いブレーキ音と共に車が近くで止まる。
その車は見間違える事はない…降谷零のRX-7だ…


『え…え…?』


ここでは隠れようにも逃げ場がない…何故バレたのか、どうしようかと戸惑っていると、その車から降谷が降りて、ズカズカとこちらにやって来た。


『ふ、降谷さん…!あのっ!』


降谷は何も言わず、一度立ち止まり風見を見る。
風見は小さく息を吐いた後、姿勢を但し頭を小さく下げた。
そんな二人の様子を交互に見ていたAだが、直ぐに降谷はAの腕を掴み早足で車に向かって歩き出す。


『わっ!降谷さん!』


あんな事言った手前会いづらいのだが、そんなの関係なく彼はAを車に押し込み直ぐに車を発進させた。


「やれやれ……世話の焼ける上司と部下だ……」


風見はそう呟き、ポケットに入れた携帯を取り出す。
画面には「降谷さん」という文字と通話画面…彼はピッと電話を切る。


「すれ違いばかりだったな…これで上手くいけばいいんだがな……」


それもこれも尊敬する上司と大事な部下の為……
風見は深くため息を吐き、車に乗り込んでその場を立ち去った……


.

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ぽむ(プロフ) - すき。語彙力ないんですけど、この作品が好きです。ありがとうございました。 (2022年5月12日 23時) (レス) @page40 id: 10c6d472ea (このIDを非表示/違反報告)
九実(プロフ) - Shamrockさん» お褒めの言葉ありがとうございます!!皆様の応援のお陰でやってこれました!!これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年4月6日 6時) (レス) id: 8f700df676 (このIDを非表示/違反報告)
九実(プロフ) - おったまげさん» ありがとうございます!色々伏線がありましたねw1度読んだ後、もう一度読んだ時に伏線を見れるのが面白いように書きましたw! (2019年4月6日 6時) (レス) id: 8f700df676 (このIDを非表示/違反報告)
Shamrock(プロフ) - 九実さんの作品ほんと好きです。文才だなぁと思いながらいつも見ています。これからも頑張ってください (2019年4月5日 23時) (レス) id: 4a04417653 (このIDを非表示/違反報告)
おったまげ(プロフ) - もう本当に読んでいて素晴らしかったです。催眠のスイッチの部分とか、最後の最後にあぁこういうことだったんだ!って一人で感動してました(笑)これからも連載頑張ってください^ ^ (2019年4月5日 23時) (レス) id: e18c4166e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:九実 | 作成日時:2019年4月5日 11時

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