守りたいもの

厄介事4 ページ12

「Aさん、お待たせしました、帰りましょうか。」

『は、はい…』

「すみません蘭さん、園子さん。これから彼女とデートをするので…」

「いいえ！いいんです！楽しんできてください！」

「もう胸がいっぱいだわ！お幸せに！！」


女子高生二人はブンブンと手を振って凄い笑顔で見送られ、Aは安室に手を取られ店を去る。
そのまま近くの駐車場の彼の車に案内される。
店から車に乗り込むまでずっと無言だった二人…
車のドアを閉めた瞬間、Aの肩の荷がスっと降りた。

や、やっと終わったああああああ！！！
いけないいけない…降谷さんの前なんだ！気をつけなきゃ！

「すまなかったな小桜。」

『いえ、大丈夫です。お疲れ様です。』


Aはキリッとした顔で軽く頭を下げる。


「それで…ちゃんとメールは見たのか？」

『はい、しっかり覚えて誰に問われても辻褄合うようにします！』

「……そうか、それで今回の事は……」

『潜入捜査…ですよね？』

「あぁ…理解が早くて助かるよ。」

『いえ…大丈夫です。降谷さんの命令ならば彼女役も頑張ります。』

「……あぁ」


少し歯切れが悪そうなのはAに申し訳なさがあるからなのか……降谷はゆっくりと発車する。


「時間がある時でいい、二人で出掛ける時間を増やすぞ。」

『え？何故ですか？』

「小桜を彼女だと公言したんだ…デートしてるところを見せないと怪しまれるからな。」

『そっか…そうですね！分かりました！』

「今度空いてる日をメールで送ってくれ。」

『はい！了解しました！』


その後は無事家まで送り届けてもらい、部屋でスケジュール帳と睨めっこする。


『言うて空いてる日って分からないんだよなぁ…公安なんて休みあって何かあれば休日出勤だし…よく考えればブラックだよなぁ〜』


一人ブツブツと呟きながら空いてる日をメールに打ち送る。
すると数分後にはメールが返ってきて、合った日を言われて偽デートの予定を入れる。


『はぁ…今度二人っきりになった時、また催眠スイッチで褒めて貰おう…』


ふと、スーツのポケットに入れたスイッチを眺めため息を吐いた。


そしていざ、(偽)デートの日！！

待ち合わせは駅前で、Aは気合いを入れてお洒落をして行く。
時間10分前に駅へ着き、キョロキョロと目当ての人を探す。


『あれ？いないなぁ…』


すると咄嗟目の前が何かに覆われて真っ暗になった。


『きゃ！何っ！？』


驚き直ぐ様目の前の覆ってるものを掴む。

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