守りたいもの

エピローグ ページ39

『え…？』

「「零さん」…だろ？昨晩はずっとそう呼んで何度も…」

『わーーーーーーー！！！！！！！！！』


Aは咄嗟に枕を彼の顔に向かって投げつける。
それを意図も容易く受け止め、クックックと意地悪そうに笑った。


「なかなか可愛かったな？」

『知りません！！』

「ほら…そろそろ支度しないと間に合わないぞ？」

『じゃああっち行ってください！』

「ん？使い方とか場所知らないだろ？」

『なっ！何となく行けますからっ！』

「そう言うなって…！」

『きゃっ！』


降谷はシーツごとAを抱き上げる。
暴れてみるが、ガッチリ掴まれた腕に途中で諦め、顔を隠すように胸に擦り付けた。
お風呂場で降ろし、Aは歩き出すがグラッと体が揺れ、降谷は直ぐに抱き受けた。


「どうした？」

『あ…』

「あ…？」

『足が…』


カタカタと揺れた足腰に降谷は吹き出した。


「あっはははは！！仕方ないなぁー？一緒に入るか？」

『いっ！いいです！！慣れれば一人で入れますから！！』

「そう言って…本当は辛いんだろ？」


スルッと腰を撫でれば、『ﾋｩｯ!?』と赤い顔で体を跳ねらせる彼女に降谷は…………


『あ、あの…降谷さん…？何故脱ぎ始めて……？』

「手伝ってやる…というのは建前で、ムラっときた。」

『はぁ！？はぁぁぁぁ！！！？』


思わず素で叫ぶAを他所に、服を脱いだ降谷はお風呂場のドアを閉めた。


『ちょ！降谷さん！！遅刻しますよ！？』

「いいさ、1、2時間程の遅刻なら直ぐに取り戻せる。」

『違う！！私の体が持たない！！』

「ハッ！それでよく公安が務まるな？」

『絶っっっ対関係ないぃぃぃ！！！』

「諦めろ」

『ぎゃぁぁぁぁぁぁ！！！』




結局2時間程遅刻してきた二人……
だが、清々しい顔をした降谷に対し、真っ赤な顔で降谷を睨むAに周囲の人は分かってしまった……


「そうか…とうとう…！！」

「これで降谷さんの八つ当たりも減るな〜」

「そんな事言って、小桜に執拗に以上に絡んだら嫉妬されるぞー？」

「でも良かったよ…二人が幸せそうで…ねぇ風見さん？」

「あぁ…そうだな…世話の焼ける二人だったなぁ…ほら！さっさと仕事片付けないと降谷さんに怒られるぞ！？」

「「「了解しました！」」」



こうしてようやく結ばれた二人…周りに見守られながら、二人は国を…そして互いを守り合う関係になっていく……


『降谷さん…』

「A、プライベートでは？」

『れ、零さん…』

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