面影 ページ5
沖矢は歩み寄り傘を彼女の上に持っていく。
『…沖…矢さん…』
「大丈夫ですか?」
悲しい顔のまま彼女は彼を見上げた。
涙に気付かないフリをして沖矢は彼女の手を取った。
「傘忘れたんですか?」
『え…えぇ…』
「いけませんねぇ?ずぶ濡れじゃないですか…」
『…』
「僕の家に行きましょうか。」
そう言うと彼女はハッとした顔をして、慌てて彼に掴まれた手を解いて少し離れた。
『大丈夫です!あの…すみませんでした…さよなら!!』
勢いよく頭を下げ走り出す。
それを見て沖矢は傘を捨て彼女を追いかけた。
彼女は想像より足が早かったが、直ぐに追いつく。そして後ろからぎゅっと強く抱き締めた。
「…逃げるな」
『あ…う…』
何も言わずポタポタと涙を流す彼女がやはり似ている…
「泣くな…泣かないでくれ…君が泣くと…俺も悲しくなる…」
『お…きや…さん…』
泣いている事がバレている事に気づき、彼女は隠すことをやめた。そして抱きしめている彼の腕にそっと触れる。
『ふっ…う…』
暫くした後、彼女はおずおずと彼と向き合った。
『す、すみませんでした…』
「いえいえ…大丈夫ですか?」
『はい…あ!!どうしましょう!?沖矢さんまで濡れて…!』
「え?あぁ…そうですね。貴女を追いかけたので…」
『あの!直ぐに帰った方が…!!』
「そうですね、では帰りましょうか。」
そう言って沖矢は彼女の手を取り歩き始める。
『え?ちょっと、沖矢さん!?』
「お互い濡れてしまいましたからね!僕の家に帰りましょうか!」
『わ!私は自分の家に!!』
「徒歩で?それでは風邪をひきますよ?」
『大丈夫ですから…!』
逃げようとする彼女にしびれを切らして沖矢は抱き上げた。
『んなぁ!?』
「ほら…じっとしてないと落としますよ?」
『落としていいですからぁ!!』
「じっとしていろ」
耳元で囁くと、彼女は『ひぅ』と声を上げて大人しくなった…
彼女を自分の車に乗せ家に向かう。
「着きましたよ。」
『はい…』
「先にシャワーをどうぞ?」
『いえ!沖矢さん先にどうぞ!私は後でもいいですから!』
「濡れた女性を放っておいて先にシャワーを浴びるなんてできませんよ。」
『でも沖矢さんは私のせいで…』
「分かりました。それなら僕と一緒に入りますか?そうすればお互い直ぐに浴びれますよ?」
そう言って上着を脱ぎながらスタスタと近づく沖矢に、彼女真っ赤な顔をして『バカッ!』と叫んだ。
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色 - 生々しくてでもそこが良くて、、、、この赤井推せる( ・ิω・ิ)✦ (7月19日 22時) (レス) @page45 id: 9c759aa54d (このIDを非表示/違反報告)
九実(プロフ) - 淋さん» 夢主ちゃんに近づくと完膚なきまでに追い返されるか、犯罪者なら存在を消される勢いで逮捕しますw (2019年6月16日 19時) (レス) id: 8f700df676 (このIDを非表示/違反報告)
淋 - 降谷さんと赤井さんのカーレース絶対スピード違反してるわこれww それに降谷さんの協力者赤井さんの恋人……色々とすごいなぁ…ストーカー被害とかww恋人にww夢主ちゃんに手を出した奴がいたら…うんヤバいね相手が…… (2019年6月16日 16時) (レス) id: b523bf60c6 (このIDを非表示/違反報告)
九実(プロフ) - 淋さん» 今までは降谷零を止めたり守ったりしてましたからね!今度は彼の番です!ゴリラ(降谷)より戦闘力高いですからね…(ガクブル) (2019年4月30日 8時) (レス) id: 8f700df676 (このIDを非表示/違反報告)
淋 - シリアスで死ネタは大好きなので嬉しいですね!あそこで赤井さんを止める降谷さんが良すぎた……彼のこと良く理解してるようで…でも最後のは見つけた瞬間全速力で走ってきますねしかも無言で…怖すぎる…(ガクブル (2019年4月30日 1時) (レス) id: b523bf60c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九実 | 作成日時:2019年4月28日 18時