愛か友情か…それとも復讐か

再開編8 ページ36

『でもいいの？』

「何がだ？」

『咄嗟とはいえ…私が恋人なんて…もし零にほんとに好きな人がいたら…勘違いしちゃうよ？』

「……」


Aが申し訳なさそうに彼を見る…零は彼女をジッと見て……


「言っただろう？協力者は自分の一部のように関係深くなると…ならば恋人でも間違いないんじゃないか？」

『でも…』

「いいから行くぞ」

『あ！待ってよ！』


一人歩みを早める零にAは慌てて追いかける。



「好きな奴なんて…あの時から変わってないのにな…」

『待ってよ零〜！』





降谷零と出掛けるようになってから暫くが経った……
時々彼から仕事の依頼がくる。
どこに潜入して情報を取ってこいだの、ターゲットを尾行しろだの様々だ。


『こんにちは風見さん！』

「あぁ、貴女ですか…どうしたんですか？」

『これ、降谷さんに頼まれた物です。渡しておいてください。』


零の仕事の都合上時には会えない事がある。
それでも依頼はくるので、彼と関わる事が多い風見裕也と知り合った。
零がいない時などは、変装をして警視庁にいる風見に渡しておくシステムだ。


「もう出来たんですか！随分早かったですね？」

『はい！ありがとうございます！』


最初はあの降谷さんの協力者というから仕方なく接していたが、態度は冷たいものだった…
だが、今は彼女の仕事ぶりに感心しているのか「流石降谷さんの協力者だな…」なんて言ってくれる。


『降谷さんから何か次の依頼はありますか？』

「いえ、今のところは無いですよ。」

『じゃあ今日はこのまま帰りますね！』

「えぇ、お疲れ様です」

『お疲れ様です…あ！そうだ…』


Aはゴソゴソとチョコレートを取り出した。


『風見さん、いつも降谷さんに振り回されてるでしょう？これ差し入れです。糖分取ってくださいね。』

「これは親切に…ありがとうございます。いただきます。」


チョコレート大好きな風見は頬を緩ませ喜んで受け取る。


『それでは！』


そう言ってAは風見に手を振りその場を後にした……
警視庁の廊下を歩いていると、突然横の部屋のドアが開いた。


『キャッ！』

「おっ…と…すまない、大丈夫か？」

『あ、驚いただけです。すみませ…』


その部屋から出てきたのは赤井秀一だった……
Aは驚き目を見開くが、直ぐにニッコリと微笑んだ。


『あら、こんにちは。確か…赤井秀一さんでしたよね？』

「あぁ…君は確か降谷君の彼女だったな？」

『はい、そうです』

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