愛か友情か…それとも復讐か

再開編6 ページ34

『…私の素顔知ってるのはごく少人数だもの…』


オールド・パルは仮面を付けていて、素顔は人前に晒す事は無かった…例外を除いて…


『バーボンに素顔を晒したのが誤算だったわね…』

「おい、もうバーボンじゃないんだぞ？」

『あら、ごめんなさい…いつもの癖で…』


全然悪びれた様子なくニヤリと口角を上げて言うと、彼はフッと笑い……


「なら俺の事を名前で呼ぶように定着させるまでベッドで鳴か『ごっめーーん零！！』


焦ったように声を張り言い換えるA。
そんな様子に彼は苦笑いをした。


『ってか、なんで二人並んで歩いてる訳？』

「気まぐれだ」

『んなっ！？』

「親睦を深めるを言っただろう？こうして二人の時間を増やさないとな…」

『何よそれ…』

「ただの散歩じゃつまらないだろ？何処か買い物するか？何か食べに行こうか。」

『あ！じゃああのクレープ食べたい！』


目の前にたまたま見えたクレープ屋にAは目を輝かせ指差す。


「(組織に居たとしても、やっぱり中身は普通の女性だな。)よし、じゃあ行こうか！」


零はAの手を掴み歩く。


『え！？ちょ…』

「人混みが多いからな！迷子になるなよ？」

『ならないわ！！！』


そんなやり取りをしながら二人はクレープ屋に行き、クレープを購入した。


『んんっ！美味しい！！』

「クレープなんて久々に食べたな…」

『ねぇ！零のクレープ何？』

「ツナサラダ」

『何それ…気になるから一口頂戴！』


そう言ってAは彼の返事を待たずにクレープに食いついた。


「あっ！」

『ん！なかなかいけるね！』


ペロっと下唇を舐め、Aは再び自分のクレープを食べ始める。


「お前はクレープ何にしたんだ？」

『チョコバナナブラウニー！』

「へぇ美味しそうだな…一口貰おうか…」

『どうぞー？』


自分だけ貰っては悪いので、彼に自分のクレープを差し出した。
すると突然グイッと引かれ、唇の端にキスをされた…


『……え？』

「…甘いな」


ペロっと下唇を舐めてニヤリと口角を上げて笑う零に、Aは一気に顔の熱が上がる。


『ばっ！！ばっかじゃないの！？何してるのよ！！？』

「ん？Aの口の端にクリームが付いていたからな…丁度いいだろ？」

「よくないっ！」


真っ赤になった顔を隠すように掌を顔の前に出して視線を逸らす。


「ははは！真っ赤だぞ？」

『うるさいっ！』

「ほら、行こうか」


零は笑いながらAの肩を抱いて歩き出す。



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