061 許さない ページ17
アスナの手は怒りによって小刻みに震え、右手に握ったままの細剣は、鞘とぶつかってカタカタと音を立てている
今この瞬間に、左腰の剣を抜いて斬りかかっていきそうな雰囲気だ
三日月「主……」
雄『ん、何々? 審神者様は怒っちゃってるの?
心外だなぁ。僕らは彼女を救おうとしているのに』
アスナ「……救う?」
アスナが問い返しながら、腰を低くした
雄『ああ、そうだよ
あの子は、前の主について悩んでいた。その悩みを、僕らは解決してあげようとしてるんだよ。優しいだろう?
あ、前の前の主か。前の主は君だもんね。あの子は覚えてないだろうけど』
アスナ「……Aちゃんの心の傷は、あなた達の力では治せないわ」
雄の姿をしっかりと見て、自分と彼との距離を測る
雄『どうして』
アスナ「Aちゃんはとっても優しい。優しすぎて、自分を傷つけてしまう」
雄『だから、それを僕たちが治してあげようって言ってるんじゃないか
嫌な記憶は綺麗さっぱり忘れて、また新しい道を歩んでいけば良いんだよ!』
直線距離で約15メートル
アスナ「それじゃ駄目なの。過去の事を忘れたからって、傷は癒えないのよ
……私だってそうだった。私は、アンダーワールドにダイブしていた間のほとんどの事は忘れてしまったけど、今も、色々なことがきっかけで胸が苦しくなる」
乱「あるじさん……無理しちゃだめだよ」
その言葉で、アスナは酷く緊張していることに気づいた
手は汗で濡れているし、足は少し震えている
SAOでは閃光、ALOではバーサクヒーラーなどという二つ名で呼ばれていたアスナだが、それはあくまで仮想世界での話だ
当たり前だが、生身の戦闘は経験がない
――でも、やるしかない。ここでやらなきゃ、私がここに来た意味がない
アスナは頭の中で、何度も動きのシュミレーションをした
踏み込みと同時に最小限の動きで剣を抜き放ち、数歩で相手の間合いに入って心臓を一思いに刺す
そのイマジネーション――アンダーワールドで言う心意は、アスナ自身の霊力と共鳴して、風として彼女の周囲をぐるぐると吹きまわる
夜空「……すごい心意だ」
金木犀「ああ。こんなに強力な心意を受けたのは、ベルクーリの親父とお嬢が初めて一戦交えた時以来だな」
雄『……へえ。すごいんだね、君』
アスナ「雄さん。私は、あなたの事を、許さない!!」
次の瞬間、風がアスナの背中を強く押して、超速で突き出された剣が雄の心臓を貫いた
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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (
レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつもいつも楽しみにさせて頂いております！これからも更新頑張ってください！ (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白（あきら） | 作成日時：2019年10月13日 2時
