隠さなくても、いーですか？ ＊不器用男子高校生×爽やか系非常勤教師 〈BL〉

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「A、

俺と付き合ってください」



前置き通りの言葉。


恋人みたいなこと

散々やっておいて、なにを今更。



「ちゃんと言ってなかったから」


俺の心の声を読んだのか、

言い訳みたく浩司が言う。



「まあ、言われてみれば」


好きだ、とはお互い言ったものの

付き合う付き合わないの話はしていなかった。



「返事は？」


「そんなの、」


決まってんじゃねーか。


差し出された右手を握って口を開く。



「宜しくお願いします」


ソファで握手する男二人

って絵面的にどーなんだろうか。


なんてちょっと思ったりもする。



「よし、

じゃあ俺から可愛い恋人にプレゼント」


「プレゼント？」


離された右手に

若干の寂しさを覚えてしまう。



「はい、これ」


そんな右手に乗せられた

銀色のどこにでもありそうな鍵。



「この家の合鍵でーす」


どこにでもありそうな鍵

なんかじゃなかった。



「俺の帰りが遅かったら

それで勝手に入ってていーよ」


「ありがと」


合鍵。

手のひらに乗った重みが

とてつもなくいとおしい。



「Aにやにやしてる」


「んなこと、」


ない訳じゃないんだと思う。


自分でも口角が緩んでるのは

自覚してる。



「喜んでもらえて嬉しい」


「ありがと」


「恋人」って感じがして

なんか恥ずかしい。



「今日泊まってけば？」


「明日学校だし」


「別に変なことしたりしないし、

いいじゃんか、ね？」


変なことってなんだよ、

って思ったけど

学校だし、なんて言ったのは口先だけで

泊まりたいってのが本音だし、

恋人のお願いを断るヤツなんていない。



「ねーA、キスしよ」


「は、今？」


なんの脈絡もなく、今？



「いーまー！！」


ねーいーでしょー？

って甘ったるい顔で見つめてくる。



「変なことしないって言ってたじゃん」


「よく考えたら恋人同士だし

ごくごくフツーのことだって気づいた」


「なんだよそれ」


「Aは俺とキスしたくないんだ―？」


その聞き方はズルいだろ。



「＿＿＿え、ちょ、え！？」


いきなり押し倒された浩司は

動揺しているようだ。



「なにAはつじょーき！？」


「いーから、黙って」


「っんあ、あっ＿＿＿」



一生隠して生きていくつもりだった

浩司への気持ちは、

ついにバレてしまったけど。



俺は、


浩司のこの顔が


俺にしか見せないこの顔が



＿＿＿とてつもなく好きみたいだ。





Fin

作者から感謝のあふれたあとがき←長いですが宜しければ！1/7更新→←47

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