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「ほんとだよ?

Aが可愛いから

ついついからかいたくなっちゃうけど」


やり場がないのか

振り落とされた手をぶらぶらさせて言う。



「可愛くなんかねえよ」


別に嬉しくない。



「男に可愛いとか気持ち悪いだろ」


気持ち悪い、と口にして後悔する。

前にもこんなことがあった。



「関係ないよ」


「は、」


「男だから可愛くないとか、

男だから男を好きになっちゃいけないとか、

そんなの、ないから」


・・・男だから。


男だから

浩司を好きになっちゃいけないと思ったし、

好きな気持ちを隠さなきゃいけないと思った。


男だから、浩司のと付き合うのは無理だって、

独り占めするのは無理だと思った。


男の俺じゃ、浩司を満足させられない。


女子の方が、

俺と違って体も柔らかいし、

可愛いに決まってる。



関係ないなんて今更言われても、俺は。



「・・・A?」


「・・・ちょっと、頭冷やしてくる」


浩司に背を向けて走り出す。



「A待って、」


そう呼び止めた浩司のことを無視して、走る。

階段を下りて、下駄箱へ。


俺以外に生徒の姿はない。

時計を見たら最終下校時刻を回っていた。



・・・浩司のとこなんか行かずに、

さっさと家に帰ればよかった。


道端の小石を蹴飛ばしながら思う。


もう逃げないって、隠さないって決めたのに、

結局また走って逃げた。背を向けた。



「___ちっ、」


目一杯蹴ろうとふるった足は

石じゃなくて宙を蹴って。



「・・・だっさ。」


怒りを通り越して笑えてくる。


せっかく浩司から告ってくれたのに、

浩司本気っぽかったのに、

何やってんだよ俺。


なんで逃げてんだよ。


本当なら今、

俺はあの人と一緒に帰ってたはずだ。


もしかしたら、

準備室でヤってたかもしんない。


なにをどうして

帰り道一人で小石蹴って

空振って笑わなきゃなんねーんだよ。


自分のしたことなのに意味が分からない。


俺は、あの人が好きなんじゃないのかよ。

だから

桜庭と付き合ってまで興味を引こうとして。



「っ、」





_____桜庭は、ちゃんと闘ったのに。





その思いが全身を駆け巡った。


桜庭は

ちゃんと浩司にアピールして、

自分のできること全部やったのに。


俺は、何一つしてない。


やれたことといえば、

浩司にされたことの仕返しくらいなものだ。


自分からは、何一つ。



このままの俺じゃ、

浩司と付き合う資格なんてない。





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設定タグ:オリジナル , BL , 男主   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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文月華胡(プロフ) - 愛香さん» コメントありがとうございます(*^^*)数あるBL作品からこの作品を見つけてくださったこと、また気に入っていただけたこと、とても嬉しいです(*^^*)本当にありがとうございます! (2020年5月9日 23時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)
愛香(プロフ) - 私BLのはあまり読んだことないんですが、面白かったです! (2020年5月8日 15時) (レス) id: 02509c761b (このIDを非表示/違反報告)
文月華胡(プロフ) - ささん» レス遅くなってしまってごめんなさい(>_<)気に入っていただけてとても嬉しいです(*^^*)活動休止中ですが、コメントいただけてとっても嬉しいです、本当にありがとうございます(* > <) (2020年3月1日 18時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)
- 少女漫画みたいな恋ですね。桜庭ちゃんが良いキャラだと思います!とても好きです! (2020年2月2日 21時) (レス) id: e07dc37db8 (このIDを非表示/違反報告)
文月華胡(プロフ) - コットンさん» コメントありがとうございます!気に入っていただけたようで、とっても嬉しいです(*ToT)ありがとうございます♪(/ω\*) (2019年2月10日 23時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:文月華胡 | 作成日時:2017年2月28日 19時

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