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「先生」


職員室から理科準備室に繋がる廊下。

少し猫背気味の背中に声をかける。



「ん?どうした?」


綺麗な顎のライン。

大きめな瞳は若干のたれ目。

睫毛は長くて、いつもどこか艶っぽい。



「私のこと、知ってます?」


私がそう訪ねれば、

形のいい薄い唇をフッと緩めて。



「桜庭サン、でしょ?」


見た目よりやや低いイイ声で答える。



「佐々木のカノジョなんだって?」


やっぱり先生は知ってた。

私と佐々木くんのこと。



「アイツ、ちゃんと君の彼氏やれてる?」


「優しいですよ。

この間も、フラッペ奢ってくれました」


私としては、不本意だったけど。



「へぇ、あいつが?」


先生はちょっと驚いてるみたいだった。



「あいつにも

彼氏としての概念とか常識とか

あったんだなー」


いやー、感心感心。とか

ちょっぴりオジサンくさく頷く先生は

佐々木くんが私と付き合ってること

ちっとも不満じゃないみたいだ。



「・・・でも、」


「ん?」


こうなったら、次の手段だ。



「彼、ちっとも手出してこないんです。

キスどころか、手も握ってこない」


私が不満そうにそう言えば、

先生は声をあげて笑った。



「Aにはまだ無理だよ。

だってあいつ、まだガキだもん。」


なんでそんな嬉しそうに笑うの。



「私、待つのはそんなに好きじゃないんです」


普段より低い私の声に、

先生は笑うのをやめて真面目な顔に戻った。



「・・・君は、俺に何かしてほしいの?」


「っ、」


思いがけない直球に怯んだ私に

先生は余裕そうに笑う。


形勢は確実に先生が優勢。


・・・でも。



「先生、佐々木くんのこと好きでしょう?」


「そりゃあ、

あいつが鼻水垂らして走り回ってる

頃から知ってるからね。

多少の愛はあると思うよ?」


その完璧な笑顔を崩してやりたい。



「私が佐々木くんのこと奪って、

悔しくないですか」


「別に?」


なんとしてでも、絶対。



「先生さっき、

何かしてほしいのかって聞きましたね。」


「うん」


「私と、寝てくださいませんか」


こんな言葉じゃ先生は怯まない。

分かってるけど。



「・・・いいよ。」


大切な教え子のカノジョ寝取ったら

流石の先生だって罪悪感くらい抱くでしょう。





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設定タグ:オリジナル , BL , 男主   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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文月華胡(プロフ) - 愛香さん» コメントありがとうございます(*^^*)数あるBL作品からこの作品を見つけてくださったこと、また気に入っていただけたこと、とても嬉しいです(*^^*)本当にありがとうございます! (2020年5月9日 23時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)
愛香(プロフ) - 私BLのはあまり読んだことないんですが、面白かったです! (2020年5月8日 15時) (レス) id: 02509c761b (このIDを非表示/違反報告)
文月華胡(プロフ) - ささん» レス遅くなってしまってごめんなさい(>_<)気に入っていただけてとても嬉しいです(*^^*)活動休止中ですが、コメントいただけてとっても嬉しいです、本当にありがとうございます(* > <) (2020年3月1日 18時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)
- 少女漫画みたいな恋ですね。桜庭ちゃんが良いキャラだと思います!とても好きです! (2020年2月2日 21時) (レス) id: e07dc37db8 (このIDを非表示/違反報告)
文月華胡(プロフ) - コットンさん» コメントありがとうございます!気に入っていただけたようで、とっても嬉しいです(*ToT)ありがとうございます♪(/ω\*) (2019年2月10日 23時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:文月華胡 | 作成日時:2017年2月28日 19時

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