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「はあ・・・」
よりにもよって、
一時間目から化学とか。
不運すぎる運命を呪いながら、
ビュレットとかいうガラス器具に入った
水酸化ナトリウム水溶液を垂らす。
「おー、順調そーだな!!」
「っ、」
み、耳元で急に喋るなあっ!!
そう叫びたくなるのを必死でこらえて
真顔を決め込む。
「なんだよ不機嫌そーな顔してー」
滴下する量を調節する手が震える。
「あともうちょっとで
色が変わりにくくなってくるはずだから、
しっかり見とけよ?」
「分かってるよ」
肩に乗せられた手を振りほどく。
浩司はあっさり引き下がり
他の班の様子を見に行った。
「佐々木君って、坂本先生と仲いいよねー」
「は?」
・・・コイツもか。
うっとりした目で
あの人の背中を追うメガネ女子。
「別に、仲なんかよくねえよ」
「えー」
あの人にとって俺は、
ただの弟みたいな存在で。
それ以上でも、以下でもない。
「あっ、」
「っ、」
俺がぼーっとしている間に、
ビーカー内の溶液は
濃いピンク色になっていた。
混ぜても混ぜても、もう透明にはならない。
「もー、佐々木君!
ちゃんと調節してって言ったのにー!!」
「・・・わりぃ」
まるで、
_____俺が浩司に抱く感情みたいだ。
消し去りたくても、もう消えない。
「はい、じゃあそろそろ片付け始めてー」
気づけば授業終了5分前だった。
「レポートは終礼後
理科係が全員分集めて持ってくること!」
放課後も浩司に会わなければいけないのか。
・・・理科係に立候補したのは俺なんだけど。
「いーなー佐々木君。
放課後も無条件で先生に会えるんだね」
確かにその通りではある。
理科係なら、
あの人がいる理科準備室に
出入りする口実ができる。
いくら気まずいとはいえ、
このポジションを誰かに譲ることは出来ない。
「A、」
名前を呼ばれるだけで、一瞬息がつまる。
「_____放課後、待ってるぞ」
「っ、」
・・・ほんと、
こんな奴のどこがいいんだか。
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文月華胡(プロフ) - 愛香さん» コメントありがとうございます(*^^*)数あるBL作品からこの作品を見つけてくださったこと、また気に入っていただけたこと、とても嬉しいです(*^^*)本当にありがとうございます! (2020年5月9日 23時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)
愛香(プロフ) - 私BLのはあまり読んだことないんですが、面白かったです! (2020年5月8日 15時) (レス) id: 02509c761b (このIDを非表示/違反報告)
文月華胡(プロフ) - ささん» レス遅くなってしまってごめんなさい(>_<)気に入っていただけてとても嬉しいです(*^^*)活動休止中ですが、コメントいただけてとっても嬉しいです、本当にありがとうございます(* > <) (2020年3月1日 18時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)
さ - 少女漫画みたいな恋ですね。桜庭ちゃんが良いキャラだと思います!とても好きです! (2020年2月2日 21時) (レス) id: e07dc37db8 (このIDを非表示/違反報告)
文月華胡(プロフ) - コットンさん» コメントありがとうございます!気に入っていただけたようで、とっても嬉しいです(*ToT)ありがとうございます♪(/ω\*) (2019年2月10日 23時) (レス) id: d648e7730a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文月華胡 | 作成日時:2017年2月28日 19時