雛菊をあげる ページ43
○TEN
「緊張してるの？」
『誰が？』
「いや、さっきから落ち着きないから」
何回ルイを抱っこしてソファーに座るの？そうクンに言われて、そういえば10分前も同じことをしていた気がする。ピコンと鳴る携帯を見ればもうすぐ着くよと連絡があって、顔を上げたらクンに笑われた。
『なに？』
「嬉しそう、Aに会うのが」
『そっちだって同じでしょ』
「俺はこの前会ったから」
『僕だって昨日電話した』
「ほら、そろそろ準備しないと」
インターホンが鳴る。今開けるねとクンが返事をして、ドアが開く。玄関まで行こうと思っていたのに、何故かソファーから動けない。もしかして本当に緊張してるのかも。リオンがAの声を聞いてそっちに歩いて行った。
「ほら、緊張してるでしょ」
『してないよ』
「わ、オッパだ」
いつから会ってないんだろう。簡単には思い出せない程に離れていた。やっとソファーから立ち上がって、Aのところまで歩いて行く。そこにいることを確かめるみたいに頬に触れた。一度目が合ったのに、段々とAが俯いて行く。
『元気だった？』
「うん、元気」
『本当に？足はちゃんと治ったの？』
「治ったし、風邪も引いてないよ」
『ねえA、顔見せて』
「…ちょっと待ってくれる？」
『どうして？』
「わたし、小さい子みたいになっちゃう」
『良いじゃん、今僕たちしかいないよ』
唇をぎゅっと噛んだまま、顔を上げた瞬間に涙が溢れた。Aが寂しいって言ってるとドヨンが教えてくれていたのも、たまにここに来て僕のベッドで寝ていたのも、毎日写真を送ってくれたのも、全部が愛おしくなる。ねえA、僕もなんだか涙が出てきた。
「オッパ、」
『うん？』
「手貸して」
伸ばした手の上に、小さくて骨張った手が乗る。相変わらず冷たくて、相変わらず頼りなさそうで、それでもぎゅっと握られたら、この手を一生離したくはないと思う。
「…わたし、カムバックとか、コンサートとか、1人の仕事もたくさんして、リオンたちともたくさん遊んで、それでね、それでもね、」
「うん、僕も寂しかった」
結局救われているのだ、僕らはAに。昔から泣いた顔は変わらなくて、この後泣き疲れて眠たくなることまで分かってる。だから今日は一緒に眠ろう。それまで手は、ずっと繋いでいてあげるから。
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yom(プロフ) - まやにゃむさん» ペーパームーンからずっと読んで頂きありがとうございます！🥲💖これから話が進むので楽しみにしていてください🫶🏻 (2022年7月12日 22時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
まやにゃむ - ペーパームーンからファンで読んでます！推しのジェと主人公ちゃんのこの後とってもたのしみです💖応援してます💖 (2022年7月12日 19時) (レス) id: 5e67e2a30a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2022年6月22日 18時
