チェリーパイロマンス ページ22
○TEN
仕事を終えてホテルに着いて、そういえば鞄に携帯を入れたままだったことに気付く。画面をタップしてそのまま電話の画面に切り替わって、誰かわからないまま出てしまった。
「ヒョンやっと出た」
『ジェヒョナ？どうしたの』
「いや、なんて言ったら良いのかわからないんだけど」
『…まさか！』
電話の奥からため息が聞こえる。何、僕がいない間に何があったんだ。耳から離してスピーカーにして、溜まった通知をひとつずつ見ていく。1時間前から立て続けにジェヒョンから5件、これだけで何か分かってしまうのは、やっぱり子離れ出来ない証拠だ。
『で、僕の可愛くて大切なAに告白した感想はどう？』
「揶揄われてる？」
『事実なんだけど』
「…そうだよね」
『よし、何があったの』
Aがこういうことに巻き込まれるのに、最初から賛成をしていた訳じゃない。でもそれは、Aがどこの誰かもわからない奴に奪われるくらいならなんて勝手に考えていただけで、ジェヒョンなら、ジェヒョンになら、Aの手を導いてあげられるかもなんて思ったのだ。可愛い弟と、小さな子供のように全てをかけて育てた、娘のような妹だから。
「それで俺、今言わなきゃって思って、」
『行動力は良いと思うよ、行動力はね』
「そしたら、Aが」
『目丸くして固まった？』
「どうしてわかるの？」
『僕が、Aのことで分からないことがあると思うの？』
ピコンとひとつ通知が鳴る。Aからだった。「今日はヤンヤンと2人で撮ったよ」と、ヤンヤンとの自撮りまで送られて来た。僕には何にも言わないつもりなんだろうか。
でも、直接会える距離にいる訳でも、こうやってジェヒョンの話を聞いている限りでも、きっと言われてから気付いたんだ。ジェヒョンの気持ちにも、自分の周りで起きていたことにも。
『Aとも話をしてみようか』
「……今？」
『僕に連絡来たから、ドヨンイは帰ったんでしょ』
「Aから？」
『ねえジェヒョナ、』
僕はいつまで経ってもAから目が離せなくて、僕の中のAは今でもあの頃のまま、チョコレートが好きで、たくさん寝るのが好きで、僕とドヨンの後ろにくっついていた女の子で、ここがAの世界で。
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yom(プロフ) - まやにゃむさん» ペーパームーンからずっと読んで頂きありがとうございます！🥲💖これから話が進むので楽しみにしていてください🫶🏻 (2022年7月12日 22時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
まやにゃむ - ペーパームーンからファンで読んでます！推しのジェと主人公ちゃんのこの後とってもたのしみです💖応援してます💖 (2022年7月12日 19時) (レス) id: 5e67e2a30a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2022年6月22日 18時
