アネモネの花をあなたにpart4 (ページ3)

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大人と子供ページ3

松潤に告白されてから、数日たった。

俺はあの日からずっと松潤を観察している。

松潤は忙しい。

お店のお片付けやニノのお店の手伝い、それにパリ行きの準備。

体がひとつじゃ足りないような仕事量を、丁寧にテキパキこなしちゃう。

俺には絶対に無理。

俺はそんな松潤の忙しさに甘えて、まだ告白の返事を返してない。

松潤も、返事を返さない俺を怒ったりしないし、催促もしてこない。

いつも通り、イケメンで接してくれる。

ものすごい大人対応。

それに比べて、俺は…子供だなあ。

少しだけへこんで、小さくため息をついていると、翔くんが近づいてきた。

「智くん、なにか悩み事？」

今日もイケメンだ。

翔くんは、俺が困っているとさりげなく救いの手をさしのべてくれる。

普通の人にはできないすごいこと。

けど、これの困ったところは嘘ついても見破られちゃうこと。

「んー、悩み事っていうか、考え事。
だから、心配しなくても大丈夫だよ。」

俺は、ここ一週間程で話すことについての感覚を取り戻しつつあった。

波多野先生からもお許しが出て、今は普通に話す事にしている。

声が出るようになって嬉しい反面、朝起きたら、また声が出なくなっていたらどうしようという不安もあった。

うれしいことと、辛いことは一緒にやってくるもの。

松潤に告白されたことは本当に嬉しかった。

けど、それと同時に自分の隠していた気持ちが掘り起こされてしまった。

もう、消したはずのその気持ちを再び自覚してしまった。