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side You
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仕事が終わり，大我に電話をかける。
病院からはもう帰ってきているだろう。
数コールで電話が繋がる。
「もしもし，大我？今から帰るね」
『A，』
「…大丈夫？」
明らかに声に覇気がない。体調が良くないのだ，と察する。副作用だろうか。
『…帰ってくるまで平気，だったんだけど』
「どこか痛い？」
『なんか，気持ち悪くて，』
「戻しちゃった？」
『少し，ごめん，』
「謝らなくていいよ。何か食べられそう？』
ちょっと無理かも，と電話の奥で大我が呟く。
とにかく楽にしてて，寝てていいからね，と告げて電話を切った。
帰る前にドラッグストアに寄って，経口補水液やスポーツドリンク，シャーベットやゼリーといった，吐き気があっても少しお腹に入れられそうなものを買う。
入院中はかなり副作用がキツそうだったけれど，大丈夫だろうか。
「ただいまっ」
家に帰り着いて，玄関を開ける。
返事はない。トイレの明かりが付いていることに気づいて，シャーベットを冷凍庫に入れてすぐそっちに向かった。
「大我？大丈夫？」
「…っ，A…」
「入るよ？」
「ん，…ケホケホッ」
ドアを開くと，苦しそうに便器と向き合っている大我。
その背中をさする。
「おぇ，ゲホゲホッ，はぁっ，はぁ，」
「苦しいね」
「きもち，わるい，…う…っ，げぇ…っ，はぁはぁっ」
「ゆっくりでいいからね」
副作用で苦しんでいる姿は，何度見ても慣れない。
こんなにしんどそうなのに，私にしてあげられることは限られていて，それがどうしようもなく悔しかった。
「…ケホケホッ，…ちょっと，落ち着いた，」
「…お水持ってこようか，口濯ぐ？」
「ん，そうしたい…」
コップに汲んできた水を渡して，うがいをさせる。
しんどい，と小さな声で大我が呟いた。
おでこに手を当ててみる。熱はなさそうで，少しだけホッとする。
「シャーベットとか，色々買ってきたけど…無理そうだよね。水分だけは摂れそう？」
「…うん」
「ここ冷えちゃうから，移動しよっか」
大我はそっと頷いた。一緒にリビングに移動して，大我をソファに寝かせる。吐き気どめを飲ませて，それからスポーツドリンクを渡した。ゆっくりコップ1杯分飲んでくれて，ホッとした。
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作者名：chapi
| 作成日時：2023年9月13日 21時
