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side Taiga
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バスに乗って病院の最寄りのバス停で降りる。
冷たい風が吹いてきて，寒いな，と思う。
病院に着いて受付をして，少し待っていたら看護師さんに名前を呼ばれた。椅子から立ち上がって，診察室に向かう。
診察室でカルテを見ていた田中先生は，俺が入ってきたのを確認すると表情を緩めた。
「京本さん，お久しぶりです。ご体調，その後いかがですか？」
「今のところ，異常なく生活できてます」
「お，それはよかったです」
先にMRI撮って採血しちゃいましょう，と田中先生が微笑む。
なんとか腫瘍が小さくなってくれてはいないものか…と思ったが，それは贅沢なお願いかもしれない。とりあえず，現状維持できていればそれでいい。
別の部屋に移動して，検査着に着替えてMRIを撮って，終わったら私服に着替えて今度は採血。入院中も何度かやった流れ。
久し振りにやると意外と疲れるものだな，と思う。
診察室に戻ると，さっき撮ったであろう俺の脳の写真が田中先生の目の前のパソコンに映し出されていた。
「腫瘍は前回と比べても，ほとんど変化ないです。脳浮腫も出ていないので，抗がん剤も効いているかと」
「…ほんとですか」
心の底からホッとしているのが，自分でも分かる。
変わらないこと，にここまで安心することがあるのだ，と初めて知る。
「採血の結果も，特に変化なしです」
「あぁ…よかったです」
「抗がん剤の投薬についてご説明しますね」
今日は点滴で抗がん剤を打って，明日から4日間は抗がん剤を内服するらしい。
23日空けて，次の検診でまた点滴を打つ。
そんな流れの繰り返し，らしい。
「何か不安なこと，気になることありますか？」
「あ，…副作用って，やっぱりあります？」
「抗がん剤？そうですね，2時間後くらいから副作用が出てくる可能性があります。具合が良くない時は無理せず休んでくださいね。もし，内服が厳しいときは連絡ください。点滴で対応します」
「…ありがとうございます」
やっぱり副作用はあるのか，そんなに甘くないよな，と少しだけがっかりしている自分がいた。
「点滴は隣の部屋で打ってもらいます。それが終わったら，今日は帰って大丈夫です。じゃあ，次回は1月の診察ですね」
「あぁ，そっか。そうですね。年明けてからですね」
「良いお年をお迎えください」
田中先生に頭を下げて，診察室を後にした。
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作者名：chapi
| 作成日時：2023年9月13日 21時
