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side Taiga
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翌日，非常勤講師の仕事を休ませてもらって(というか，検査結果によってはそのまま退職という形を取らせてもらって)，隣町の大学病院に行った。
昨晩，Aが田中先生に連絡してくれて，紹介状を書いていただけたおかげでスムーズに進んだ。
昨日撮ったMRIとCTの画像，血液検査の結果を見て，こちらの病院の先生も難しそうな顔をした。
「うーん，断定はできないけど，位置と大きさからすると…神経膠腫の可能性が高そうだな…。周りに脳浮腫も見られるからね…こちらの病院では手術まではできるけど，放射線治療と化学療法のことを考えると，昨日の病院で治療した方がいいかもしれないですね。先程おっしゃっていた後遺症のリスクも，位置が位置なので…」
昨日と同じようなことを言われたけれど，昨日より覚悟を持って聞けたからなのか，昨日ほどショックを受けることはなかった。
俺よりも，Aの方ががっかりしているみたいだった。
セカンド・オピニオンの代金を支払って，アパートに戻る。2人で今後のことを話さなくてはならない。
「…どうしよっか」
「うん。田中先生のとこで治療するのが，今のところ最善…だよね」
「そう思う…」
神経膠腫…グリオーマ。
最も悪性の膠芽腫だった場合，平均余命は2年ほどと言われている，らしい。
「…でもっ，まだ，悪性って，グリオーマって決まったわけじゃない，でしょ」
Aの声は震えていた。
「…うん，そうだよ。良性かもしれない。取ってみなきゃ分かんないって言われたもんね」
「……ごめん，私が取り乱したりして」
「ううん。実際，まだ分かんないわけだし。とりあえず，手術は受けるよ。…田中先生に連絡しなくちゃね」
この期に及んで，俺はまだ信じていた。
きっとAも。
手術すればきっと治る，グリオーマじゃない，と。
信じていないと，すぐにでも壊れてしまいそうだから。
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作者名：chapi
| 作成日時：2022年9月5日 0時
