・13 ページ13
“明日 時間ある？”
昨晩、亮ちゃんから来たメール
病院近くの喫茶店で待ち合わせをして
「ごめんねっ？待った？」
「おぉん、全然。大丈夫やで」
彼の前の席に座る
「亮ちゃんよかったね。章大 思い出してくれて」
「おん、その事なんやけど…」
目の前のアイスコーヒーを一口飲んで
「章ちゃん、Aちゃんの事“山田さん”って呼んどったけど。もしかして、Aちゃんの事も…」
「うん。覚えてないの」
「そぉなんや……で、付き合ってるとか結婚の話とかは？したん？」
「ううん、言ってない。“友達”って言ってある」
「えっ？なんで？言うたらなんか思い出すかもしれへんやん」
「ん〜、そうだけど。高校生までの記憶しか無い人に、いきなり結婚の話なんて…できないよ」
「まあ……せやけどな？」
「それにっ、私 信じてるから。章大がちゃんと私の事 思い出してくれるって…信じてる」
「そっか。そうやね。俺の事もすぐ思い出したし、明日か明後日には“A〜、ギュッてしてやぁ〜”とか言うてるわ(笑)」
自分で言ったのに 顔を赤くして照れてる亮ちゃん
私を元気付けようとして言ってくれたその言葉に
「ありがとう。すごく 元気でたっ」
何で亮ちゃんはわかって、私はわからないの？なんて、暗い気持ちがスウッと消えていくようだった
章大の意識が戻ってから、私は仕事の合間をぬって毎日 彼の病室をのぞいた
今日もいつもの様に仕事の前に病室に寄ると、亮ちゃんの姿
「山田さん、おはよぉ」
「おはよ、安田くん 亮ちゃん」
目覚めてすぐは不安そうに私の様子を伺っていた章大も、今では心を開いてくれていて
「なぁ。今日は何の話 聞かせてくれるん？」
まるで、小さな子どもが絵本を読んでもらうのをまっているかのように、目を輝かせて私が口を開くのを待っている
「へぇ。僕 ちゃんとお仕事してたんやね。
そういえば、先輩と一緒に会社 作ったんよね？先輩達にも迷惑かけとるやろうし…
会ってみたいなぁ…」
「じゃあ、退院したら 会社 行ってみる？」
「行く 行くっ！山田さん、ついてきてくれるやろ？」
「んふっ、いいよ。一緒に行こっ」
2人で出かけるなんてこと、これまでに数え切れないほどあったけど
今は 考えただけで ドキドキする
何…着て行こうかな？
浮かれた気持ちに心の中で喝を入れていると
控えめに病室のドアがノックされた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 173人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちか
| 作成日時：2015年8月28日 18時
