記憶のオクに…【青】 (ページ12)

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章大が倒れて、まず私が連絡したのは亮ちゃんだった

東京で章大の1番近くにいたのは、亮ちゃんだったから

彼は大学を卒業してから、憧れていた劇団に入った

最初はバイトしながら雑用ばかりだったみたいだけど、今はセリフのある役をもらえるようになっていて、今回も地方公演でこっちに戻るのは夜遅くって聞いていたけれど

「章ちゃん！大丈夫かっ⁉︎」

今朝、章大が目覚めた事記憶の無い事はメールで伝えておいたから、早く帰ってきてくれたのかも

章大に昔の事を話してくれとせがまれて、生まれた時の事から懐かしそうに話していく亮ちゃん

章大は、それを難しい顔をして聞いていた

「中学入ってさぁ、章ちゃんはバレー部、俺は軽音部やったんやけど…

中2の秋、文化祭で俺らバンド組んで演奏するはずやったんに、ボーカルの奴が声でぇへんくなって。

ほんで、無理やり章ちゃんに歌わせたんよ」

「へぇ～、そんな事あったんだ」

「おん。章ちゃんめっちゃ歌上手いやん？
絶対いける思ってな。

そん時の章ちゃん、緊張し過ぎて歩く時手と足一緒に出てまうし、マイク両手で持って“ボーカルさんの代理で来ました。安田章大ですぅ。よろしくお願いします～”って、頭下げてな？

せやけど、音鳴り始めたら目の色変わって。声出したらさっきの緊張、一気に解けたみたいに気持ち良さそうに歌っとったなぁ。

あん時の章ちゃん、カッコ良かったで？

もっかい聞きたいなぁ。章ちゃんの……」

「「チェリー」」

「……章ちゃんっ……いまっ…」

「ふふっ、亮もカッコ良かったで？あのギター聞いて僕、鳥肌たったもん」

「ちょっ…待ってっ。わかるん？俺の事………わかるんっっ？？」

「……錦戸亮。僕の幼なじみで、大切な親友……やろ？」

「章ちゃ～ん。よかったぁ～」

章大にギュッと抱きついた後

「ほしたらなっ？その後、章ちゃんバンドにハマってもぉて…」

あんなに興奮してる亮ちゃん、初めて見た

「それ、ちゃうやろ？僕やなくて亮がやったんちゃうん？」

それに、あんなに楽しそうに話す章大も久しぶり

私は荷物を持って、そっと病室を出た