空中楼閣組織・秘封活動録【一冊目】

女の子 ページ5

「ねー聞いてるふうりちゃん！早く来てってば！先駆者ちゃん起きたー！」


水色というべきかコバルトブルーというべきか、とにかくそんな奇抜な色をした長い髪を上で結んでまとめている。
熟れる前のレモンを連想させるような淡い黄色の瞳は、どこか子供っぽい雰囲気を宿している。ちょっと身長は低いものの、見るからに私と同い年くらいなのだろうけど…


女の子は私のことなんてそっちのけで、しきりに誰かの名前を呼び続ける。

やがて、部屋の向こうからも返事が聞こえてきた。

よく通る、凛とした＿＿




「すいれんうっさい！！馬鹿の一つ覚えみたいに叫ぶな、少しは黙ることも覚えろ！」


＿＿もんのすごい怒った声で。

それにも女の子は別に怯んでいない様子。むしろ、馬鹿じゃない！とさらに憤慨している。

女の子がわーわー噛みついたせいで、しまいには相手の人が折れて、あーはいはいと適当に流しながら部屋に入ってきた。女の子もその子が部屋に入って椅子に腰掛けたのを確認して、律儀に戸を閉めてから自分も座った。


もう一人の女の子はこれまた奇抜な黒かかった藍の髪色。短髪のすっきりした髪型だ。それに桃色の目。ちょうど夾竹桃の色とそっくりな、ちょっと危うさも混じった綺麗で吸い込まれそうな瞳だった。

身長はさっきの子よりも低いけど、シュッとして整った目鼻立ちで大人っぽく見える。さっきの子が子供っぽいだけなのかもしれないけど。

よく見れば水色髪の子も綺麗だ。というか、可愛い系の顔立ちをしている。
美人と美少女に見つめられて、あああとなる。うう、自信がなくなる…



「目え覚めたんだね、よかった。でも、なんで頭抱えてるの」

「さあ。…もしかして頭痛かったりする！？」


藍色の子は冷めた目で、水色の子はおろおろしながら聞く。


「あ、なんでもないです……お二人とも、綺麗ですね……」


言葉を出しきった後に後悔する。いやいや、いくらなんでも初対面の人にこんなこと言われたらドン引きするじゃん！なにしてんのまじで！？

でも、予想してた反応とは相反して、二人は涼しい表情のままだ。


「そうー？ありがとう、照れるなあ」

「どうも、彩羽さんも綺麗だけどね」

「うん、先駆者ちゃんかわいい！モデルさんしてるの？」

「彩羽さんだっちゅーの」

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