ゆらゆら* ページ36
一時限目が始まった。私達はチャイムが鳴ったちょっと後に滑り込んだ。先生に睨まれたが、すいれんが
「灯色ちゃんに色々聞いてたら遅くなっちゃいました」
と咄嗟な嘘を吐いて、今日だけだとお許しをもらった。ナイス。
微妙にクラスメイトの視線が痛いけど、気にしないフリをして席につく。ちなみに二人は本当に気にしてなさそうだった。
教科書は同じ所のものだったし、習っていた範囲もほぼ同じだということで、二人は普通に授業を受けている様子だった。心配はいらなかったかな。
「むにゃあ…」
「起きろ」
「いたっ!?」
あ、前言撤回。やっぱりめちゃめちゃ心配だこれ。
すいれんが声をあげたことによって、クラス中の視線が目を擦るすいれんとふうりに注がれる。先生ボケていらしてよかった。
すいれんは寝てて書いてなかった分のノートを急いでとりはじめ、他の人には目もくれない。ふうりも自分のノートに目を戻した。だけど、聞こえないの?
「さっきから何、あの子」
「注目集めたいだけじゃないの?」
「目の擦り方とか完全ぶりっこじゃん」
「マジウザいの来たわ」
クラスのカースト上位の女の子の、ひそひそ声。明らかすいれんに向けられている。本人は気づく様子もなく、いそいそとシャーペンを動かしている。
「クソ教師にも媚びて許してもらっちゃってさ、キモ」
「次の昼休みさあ、あの子…」
聞き捨てならない言葉が、はっきり聞こえた。私は拳を震わせる。どうしよう、久しぶりに怒りが露になってしまうかもしれない。
確かにすいれんは幼いところがあるけど、アンタらの方が…!
「確かにすいれんの仕草は幼いところがあるけど、別にいいじゃない。逆にそうやってひそひそ耳に障る声で悪口叩くあんたらの方がないわ」
「……え」
みんなにはっきり聞こえる声で、ふうりが呟いた。
「……は?」
「いや、だってそうでしょ。それに仕草がどうとか声がどうとかで言ったら、今のあんたの「は?」の方がよっぽどドス黒いわ。いつも人に媚びてんだね、かわいそーに」
はっと鼻で笑うふうり。濃い桃色の目は、普段より若干光っているように見えた。光がゆらゆら、ゆらゆら。その目は、ちらっと私を見やり、ウィンクを飛ばした。
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ひすい(プロフ) - tubinさん» わわ、嬉しいお言葉がたくさん!ありがとうございます。雪氏の挿絵も相まってキャラの可愛さが伝わっていれば幸いです…。モチベがあがるー!早めに更新できるように努力します(`∀´*)/ (2021年8月28日 0時) (レス) id: bcd955ca5c (このIDを非表示/違反報告)
tubin - ひすいさん» すごくおもしろかったです!! 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください!! (2021年8月27日 10時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴(プロフ) - 秘封活動録………秘封活動倶楽部を思い出した……wwそれはさておき面白かったです! (2021年1月27日 14時) (レス) id: 877859fa3c (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 梨李愛さん» な、何かが違う…。でもありがとうございます、梅酒呑みます未成年ですけど!!! (2020年11月24日 18時) (レス) id: 13e26514b2 (このIDを非表示/違反報告)
75。(プロフ) - 梨李愛さん» 梨李愛さんだ!(歓喜)推しの敵の弱点を頂きましたありがとうございます^^ ?「75と仲間になる確率が上がった!」 (2020年11月24日 17時) (レス) id: 262b134c7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひすい&雪。 x他1人 | 作成日時:2020年10月26日 21時