行動に ページ32
歓迎会からさらに、五日程度経った。特にこれといって変わったこともなく、あの四人に会うこともなかった。封馬さんはテレビで見かけたけど。
『部屋』から帰ってすぐ確認の為に見たバラエティ番組でインタビューに受け答えしている封馬さんは、ついさっき見た封馬さんとは違いすぎて正直鳥肌が立った。
少し開いた切れ長っぽい目は死んだ魚かそれ以上に死んでるし、色恋沙汰なんて聞かれたら「特にありません」とか「興味ありません」としか答えない。インタビュアもどうすればいいのか分からないような困った顔をしていた。
多分、そういうところが人気を煽ってるんだろうけど。あまりの温度差に口が開いた。
あと一つ、その日気づいた発見がある。というか聞いただけなのだけど。
ふうりさん曰く、私は副作用で視覚に影響があるだけで、色の識別能力には劣っているわけではないそうだ。
つまり世界がモノクロでも、私の目は興味がないものでも一応何色か分かるらしい。不思議だ。
『「色として見えないだけ」っていうのも中々シビアだけどねー。今まで違和感を感じることなく過ごしてたのも、色は分かるからじゃないかな?』
確かに、ほんとに黒と白しか判別出来ないなら、私じゃなくても他の誰かが気づいてくれたかもしれない。
『いやそれは無理。だって私ら、孤高の超能力者だもん』
珍しくおちゃらけてそう言ったふうりさんは、眉を下げて困ったように笑った。
− − − − − − − − −
今朝は思ったよりもよく眠れたらしく、早く目が覚めた。しかも朝特有の気怠さもない。
なんとなく調子がいい日は、それ以上に調子に乗りやすくなるのは私だけだろうか。早く朝ごはんを食べて、ずっと早く学校へ向かった。
校門は開いていたので、そのまま中に入る。
自分の教室まで行こうと靴箱で靴を履きかえる。ここまで喋る必要ないので、無言。
「………」
「〜〜…〜」
職員室の先生の声がよく聞こえる。静かだからか余計に辺りに反響する。
「〜、〜〜!」
「〜〜〜」
……ん?
なんか、今やけに聞き覚えのある声が聞こえた気がする。クラスの人でなく、近所の知り合いとかでもない。
高校生にしては幼い声色の弾んだソプラノと、高校生にしては大人びた静かだけど凛としたアルト。考えるまでもなく、分かった。
瞬時に足が動く。後ろを振り返ることなく、全速力で階段を駆け上った。
調子のいい日に調子に乗りすぎて墓穴を掘るのって、私だけだろうか。
4人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひすい(プロフ) - tubinさん» わわ、嬉しいお言葉がたくさん!ありがとうございます。雪氏の挿絵も相まってキャラの可愛さが伝わっていれば幸いです…。モチベがあがるー!早めに更新できるように努力します(`∀´*)/ (2021年8月28日 0時) (レス) id: bcd955ca5c (このIDを非表示/違反報告)
tubin - ひすいさん» すごくおもしろかったです!! 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください!! (2021年8月27日 10時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴(プロフ) - 秘封活動録………秘封活動倶楽部を思い出した……wwそれはさておき面白かったです! (2021年1月27日 14時) (レス) id: 877859fa3c (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 梨李愛さん» な、何かが違う…。でもありがとうございます、梅酒呑みます未成年ですけど!!! (2020年11月24日 18時) (レス) id: 13e26514b2 (このIDを非表示/違反報告)
75。(プロフ) - 梨李愛さん» 梨李愛さんだ!(歓喜)推しの敵の弱点を頂きましたありがとうございます^^ ?「75と仲間になる確率が上がった!」 (2020年11月24日 17時) (レス) id: 262b134c7c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひすい&雪。 x他1人 | 作成日時:2020年10月26日 21時