出発 ページ22
「………まずいぞ」
こういうとき、なんて言えばいいのだろうか。人生終わりの危機とかそういうのじゃないし、かといってなんの被害も被らないというわけでもない。というか結構なダメージだ。内申に。
こんなとき冷静に頭が回るのは、まあ単に昔からそういう性分だったからで、そんな風な造りの頭には前々からそれなりに助けてもらってもいる。
別に一昨日あんな突飛なことがあったとはいえ、私は一応公立に通う普通の女子高校生だ。プライベートと義務は分けて考えるべきだということもしっかりと理解している、つもりだ。
二日前におかしな団体に出会って超能力者だと指摘され、挙げ句最後には放り出されて散々だったせいで疲れていたとはいえ、そんなこと学校側がそうですかと聞き入れてくれるわけもないし、私もそれで納得してもらうつもりはない。
でもめちゃくちゃ焦ってることに変わりはないし、今こうして脳内でうだうだ語託を並べて言い訳がましいことをしていても全く意味はないのだ。
そんなことをしていても、時計の針は止まることを知らないんだから。
今ここで私が油を売ってその場で足踏みしていても、着実に針は同じペースで走る。
とにかく私は今、焦りや混乱をどうにか鎮めて、10分で身支度を整える術を考える必要がある。というか、この際身なりは関係無い。たとえ同じ部屋で勉学に勤しむ同胞達にどんな目で見られようと。
そんなわけで私は今、回りはするけど変な方へ行く頭を必死に高速回転させて、解決策への回路を組もうとしているところなのだ。
まあ、はい、簡略して言うと、遅刻しました。
時計の針は7時50分を指している。ここから学校までは走ったとしても30分以上かかる。最低限の準備でも、HMにギリギリ間に合うか間に合わないかくらいだ。
「(もうこの際ごはんは抜きで……くぅ…)」
涙がちょちょきれる。なんで目覚まし通り起きれなかったのかわけがわからない。
床には、私が焦りに焦った挙げ句なぜか思いっきり投げつけた目覚まし時計が転がっている。なんと傷ひとつ付いていなかった。
髪は適当にゴムで一つに結んだ。もう一つのゴムは手首にかけて、くしを制服のポケットにつっこんだ。学校に着いてからいつもの二つくくりに直そう。
昨日の内に授業の用意を鞄に入れていて良かったと本当に思う。ガシッと乱雑に持ち手を掴んで、鍵をかけるのも忘れて家を飛び出た。
4人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひすい(プロフ) - tubinさん» わわ、嬉しいお言葉がたくさん!ありがとうございます。雪氏の挿絵も相まってキャラの可愛さが伝わっていれば幸いです…。モチベがあがるー!早めに更新できるように努力します(`∀´*)/ (2021年8月28日 0時) (レス) id: bcd955ca5c (このIDを非表示/違反報告)
tubin - ひすいさん» すごくおもしろかったです!! 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください!! (2021年8月27日 10時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴(プロフ) - 秘封活動録………秘封活動倶楽部を思い出した……wwそれはさておき面白かったです! (2021年1月27日 14時) (レス) id: 877859fa3c (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 梨李愛さん» な、何かが違う…。でもありがとうございます、梅酒呑みます未成年ですけど!!! (2020年11月24日 18時) (レス) id: 13e26514b2 (このIDを非表示/違反報告)
75。(プロフ) - 梨李愛さん» 梨李愛さんだ!(歓喜)推しの敵の弱点を頂きましたありがとうございます^^ ?「75と仲間になる確率が上がった!」 (2020年11月24日 17時) (レス) id: 262b134c7c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひすい&雪。 x他1人 | 作成日時:2020年10月26日 21時